農民連と産直ネット
あした有機農園視察
第5回経営学習交流会
茨城
茨城農民連と産直ネットワークいばらきは11月19日、第5回となる経営学習交流会を開催しました。今回は新規就農者を育成している笠間市の「あした有機農園」を視察。その取り組みを紹介します。
新規就農者を育成
研修生受け皿の農園を立ち上げ
代表の涌井義郎さん(65)は2011年春に農業者を育成する専門学校「鯉渕学園」(水戸市)の教員を早期退職し、同園を一人で立ち上げました。19年春までに11人を送り出し、2人は生産法人などに就職、9人は茨城県内に新規就農をしています。「就農人口が半減しているこの状況をこのまま放置はできないと、新規就農者の研修の受け皿として農園を作りました」と涌井さん。
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堆肥を前に説明する涌井さん(左) |
就農希望者の研修だけではなく、週一回だけ通ってくる人の受け入れや、短期の農業体験、土づくり講座など多様な受け入れもしています。「資金がなくて学校には通えないが、農業のことを知りたいという人は多くいます。こうした人たちの短期研修や体験も基本的にすべて受け入れています。年間数百人になると思います」
研修では農業の基礎と堆肥作りなどの作業の基礎を学びます。「雑草と野菜くず、もみがらから堆肥を、米ぬかと発酵鶏ふん、腐葉土でぼかし肥料を作り、土の中で栄養が生み出される基礎を学びます。独立1年目の人には腐葉土を分けて、経済的負担を抑えるようにしています」
経営研修も行い、「県内で農家見学や、年1回くらいは国内の視察旅行も行います。もちろん経費は法人で持ちます」
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涌井さんの説明に聞き入る参加者 |
就農者の農地や作業場の確保は
地域に空き家はあるのですが、なかなか研修生に貸してもらえないのが現状です。そこで、アパートから農地に通うことになります。農地の借り入れに関しても涌井さんが全面的にサポートします。「役場などで情報を仕入れ、現地に同行してアドバイスをしています。農機具も中古品の購入をサポート。資金の厳しい生産者には法人の所有する機器を貸し出します。作業場は借りた農地にハウスを建てて確保します」
就農後の経営の安定にも涌井さんは心を砕いています。「法人設立3年目から卒業生や地域の農家10人くらいで生協などに共同販売する事業を始めました。また今年12月には笠間市内にオーガニックの専門店をオープンさせて、そこでも販売できるようにします」
ほ場も見学、研修生の思い聞く
ほ場の見学では、堆肥作りや苗床の様子などを見学。手順を踏んで堆肥を作る様子や腐葉土の様子を見学。「牛ふんの山には雑草が生えないが、堆肥には草が生えます。草が生えないということは何か良くない状態ということです」という涌井さんの解説に聞き入っていました。
研修生の三澤ゆかしさん(37)は「空いている畑を借りて自家菜園をやったのがきっかけで、農業に興味を持ちました。農薬を使いたくなかったし、自分で考えながら工夫する有機農業でやりたいという思いで研修に来ました」と話していました。
(新聞「農民」2019.12.9付)
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