「農民」記事データベース20191125-1386-15

和歌山県古座川町
ゆず 平井の里

収穫応援に行きました

和歌山・紀ノ川農協 味村妃紗さん


園主のおばあちゃんと3年ぶり再会、大喜び

 和歌山県古座川町では、柚子(ゆず)の収穫が最盛期を迎えています。

 11月9、10の両日、古座川町にある農事組合法人「古座川ゆず平井の里」の収穫応援に行ってきました。

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小さな子どもも一緒に

 古座川町は、関西で最も高齢化率が高い地域で、65歳以上の人口が約半数の地域になります。林業の町でしたが、木材の価格が下がる中、次の何かを考えた時に、柚子の栽培に取り組んだと聞いています。

 古座川町の平井地区には、地域の特産物である柚子の栽培と加工を行う農事組合法人「古座川ゆず平井の里」があります。この地域では、7つの地域が集まって「七川ふるさとづくり協議会」を設立し、若者が移住し定住できて幸せに暮らせる「ふるさとづくり」、地域住民の願いや思いのつまった「地域づくり」をすすめています。

 そんな状況の中、高齢化で収穫作業なども厳しくなった柚子の栽培に、古座川ゆず平井の里が呼びかけ、都市部から学生や消費者の方が収穫ボランティアとして来て活動しています。過疎化で人口も少ないので、この時期の収穫ボランティアの応援は、大切な力になっています。

 私も数年前からご縁があって、この時期になると柚子の収穫応援に行っています。今年は3年前にも収穫応援に行ったほ場での作業でした。園主のおばあちゃんと久々に再会できてとてもうれしかったです。

 このほ場は足場が悪く、ゆずの収穫を傾斜の状態で作業しないといけない場所で、初めて行った時には、杖をついたおばあちゃんがこの傾斜で収穫作業しているという事実に衝撃を受けました。私でもかなり足に負担が来る場所です。杖をついての作業なんて、私ならとても危なくてできないと思うような場所です。

 今年も園主のおばあちゃんと一緒に、出荷のためにきれいにヘタのところの枝を切る作業をしました。「もう収穫作業はできひんけど、出荷準備の作業くらいならできるから」とおばあちゃん。

 作業をしながら3年前に来た時の話になりました。あの時おばあちゃんは「来年はもう柚子作るのできひんかも」と話していました。「でも、ボランティアの若い皆さんが、『またお手伝いくるし、そばにおって作業を見ててくれるだけでいいから』と言ってくれた」とおばあちゃんが言ってくれるのを聞いて、「あっ」と思いました。それが3年前に一緒に収穫応援に来た妹が最後に言っていた言葉だと思い出したからです。「あの時の、その言葉を胸にとめてずっと作り続けてくれていたんだな」と思うと、本当に、言葉の重みや感謝やうれしさ、いろんな感情を思いながら話しをしました。

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参加者で記念にパチリ。前列左から3人目が味村さん

 全部採りきりたかったのですが、今年は2年ぶりの豊作で、まだまだ採り終われませんでした。

 後ろ髪ひかれつつ、来年はもっといっぱいのメンバーで来れたらいいなあと思いました。

 柚子の香りいっぱいのほ場で、汗をかいて、幸せな休日になりました。

(新聞「農民」2019.11.25付)
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2019年11月

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