「農民」記事データベース20191118-1385-07

農民連結成30周年記念
コンクール入選作品
詩の部

 農民連結成30周年を記念して、「写真・詩・俳句・短歌コンクール」を呼びかけ、作品を募集したところ、たくさんの会員・新聞読者の方々から応募いただきました。ありがとうございました。

 編集部では、それぞれの部門で専門の方に助言をいただき審査を行いました。選者の講評をまじえて入選作品を順次紹介します。


入選

 草刈り

  井上さだ子(群馬県沼田市)

ベルトを肩にかけ
エンジンの速度を上げる
 転ぶな と自分を戒め
土を踏みしめる

ジーンジーン
回転刃は唸り
ヒエに葉草
モチ草にギシギシ
すっかんぼも
土手しもに倒れ込んだ

むかし草刈りは
義父(ちち)と義母(はは)のしごとだった
義父は鎌を研ぎ
ボチボチ刈った
義母はカミソリでそったように
固い牧草も
根詰めて刈る
草刈り名人だった

わたしは子育てと
家事に追われ いつも
 広い田畑に出たい
そう願っていた

村に田んぼができて
半世紀
田しごとは
義父から夫に
夫からわたしに引き継がれ
水加減や
追肥の頃合いもおぼえた

草刈りは
イネを病気と害虫から守る
大事なしごと
田植え前に一回
中三回
それでもヒエは
穂をたかく持ちあげ
実を撒き散らそうと
待ちかまえている

エンジンを停止して
うしろを振り返ると
色付いた稲穂が畔に沿って
重たく垂れ下がり
午後の西風にゆれている


佳作

 無農薬畑

  藤田 建光(東京都八王子市)

うれしいわ!!が
うれしくて
拾坪少しの野菜畑
枯草焼いて灰まいて
自家精米の糠まいて
今日も埋めてるぼかしごみ
手本はなくても、手で虫とれば
苗はどんどん育ちます
一握り少しの野菜のおすそわけ
「無農薬です」と胸はれば
笑顔が答えて、「味が違うんですよ」と
我が意を得たりと小農民気分


〈選者〉

 詩人会議

  鈴木太郎

 (選評)入選の「草刈り」。草刈り作業にとりくむ家族の様子とともに労働の誇りを感じさせる力作。稲にとって、水が不可欠と同じように、草刈り作業は重要なもの。

 佳作の「無農薬畑」。野菜畑での収穫の喜びを簡潔に表現、共感を呼ぶ。

(新聞「農民」2019.11.18付)
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2019年11月

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