茨城 洪水被害
茨城農民連がボランティア支援
「気持ちが前向きになってきた」と笑顔に
作業場は3メートル水没
茨城県では台風19号により那珂川や久慈川が氾濫を起こし、周辺に大被害をもたらしました。
茨城県北農民連では常陸太田市の綿引克友さん(69)も大きな被害を受け、茨城農民連がボランティアを呼びかけて支援に入りました。農民連本部や茨城県連のほか、コープいばらき、茨城民医連、茨城県商連などから約20人が参加し、作業用ハウスにたまった稲わらなどの撤去作業を行いました。
水に流され、ハウスの中の物はぐちゃぐちゃになっています。その上にワラが堆積し、発酵も始まっていました。ぬれたワラをスコップなどでかき出し袋に詰めていきます。ハウスの中を車や重機が通れるようにと懸命の作業のおかげで、予定よりも進み、水につかったままハウス内に残された750キログラムの玄米入りの袋4つも重機で運び出すことができました。
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ハウス内に流れ込んだ稲ワラを外に運び出しました |
綿引さんは米17ヘクタールを中心に畑作を合わせて20ヘクタールを耕作しています。12日夜に台風が通過し、13日朝に家族で避難をしました。「消防が避難勧告を告げに回った後、駐在さんが避難を呼び掛けに回ったのが決定的でした、こんなことはこれまでありませんでした」
綿引さんはいったん避難した後、久慈川の堤防から水が押し寄せる様子を見ていました。「5キロメートルくらい上流の堤防の低いところから決壊しました。堤防の上で見ていると、濁流がまるで津波のように押し寄せ、農地を飲み込んでいきました」
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状況を説明する綿引さん(左) |
久慈川の水位が下がっても排水ポンプの処理が追い付かず、2日間は水がたまったままでした。
作業場にあった乾燥機は3メートル以上水没しました。「田植え機、トラクター、コンバイン、フォークリフトなどいくつかの機械を少し高いところにある兄の家に避難させたのですが、そこでも1メートル以上浸水し、エンジンが水の下になりました」
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棒の先まで水が押し寄せました |
出荷を3日後に控えた米2000袋も水没。倉庫の中でぐちゃぐちゃになっています。「水が押し寄せるのを見て、『終わりだ』と感じるくらいすさまじいものでした。被災直後は『農業を続けていけない』という気持ちが強かったです」と語る綿引さんですが、「みなさんのおかげでハウスのなかも通れるようになり、少しずつ気持ちが前向きになってきました」と作業後は少し笑顔を見せてくれました。
茨城県連は今後も綿引さんの支援を続けるとともに、常陸大宮市などの被災農家へのボランティアも呼びかけています。
(新聞「農民」2019.11.11付)
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