日本農業を異次元の総自由化に
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「牛を取られて車は取れず」「アメリカの言い分は全部飲みます。ただ、体裁をとりつくろうことだけは認めてください」「誰がどう見ても不公平貿易を笑顔で『ウィンウィン』。正気の沙汰とは思えない」「妄想? もしかして虚言癖?」――。日本が完敗、アメリカが「巨大な勝利」の日米貿易協定に対し、インターネットでも激しい批判が巻き起こっています。
安倍政権は11月上旬にも衆議院を通過させ、来年1月1日の発効を強行するねらいですが、協定の公表と同時に、安倍政権のぶざまな譲歩と、それを覆い隠すためのウソとゴマカシが次々に明らかになっています。ウソにまみれた亡国・売国協定の強行を絶対に許すわけにはいきません。
ウソの始まりは、自民党が政権復帰した2012年12月の総選挙。「TPP(環太平洋連携協定)断固反対! ウソつかない自民党」のポスターが全国に張りめぐらされ、江藤拓・現農水大臣も選挙広報に「TPP交渉参加には断固反対いたします!」と公約していました。
しかし、安倍首相が政権に復帰して真っ先にやったことは「TPP参加」。当時、日本農業新聞は「国益に反する『壊国』協定参加に一片の大義なし。重大な公約違反であり、不信任に値する」と断じました。
第二のウソは、トランプ大統領がTPP離脱を表明した後。安倍首相は「アメリカにTPP復帰を促す。日米FTA(自由貿易協定)は断固やらない」と強がってみせました。
第三は、日米FTAそのものである日米貿易交渉開始を宣言した昨年9月の日米共同声明。政府は「TAG」(物品貿易協定)という新語までデッチあげ、安倍首相は「これはFTAとは全く異なる」と強弁しました。
しかも許しがたいのは、日米両政府が、貿易協定によって現在の対米農産物輸入額の5割に当たる72億ドル(7700億円)の農産物市場開放が実現すると試算し、TPP11、日欧EPA(経済連携協定)発効に続き、今回の合意で、日本農業を未曽有の総自由化にさらす亡国の決断をしたことが明らかであるにもかかわらず、「日本の農業者にとって利益になる協定」と強弁していることです。
「息を吐くようにウソをつく」「ギゾウ・ネツゾウ・安倍シンゾウ」そのものだと言わなければなりません。
トランプ大統領(右)と握手する安倍首相=9月25日、米ニューヨーク |
TPP11、日欧EPA発効後の今年3月までを含む18年度食料自給率は、過去最低クラスに落ち込みました。「自給率は下がらない」はウソっぱちです。
日米貿易協定にTPP11、日欧EPAの影響を加えた生産減少額は牛肉で1000億円超、豚肉・牛乳もそれぞれ700億円超で、現在の国内産出額の15〜10%に相当します。牛肉・豚肉のトップ主産県、鹿児島の産出額の84%、2〜4位の牛乳主産県、栃木・熊本・岩手の合計の9割相当です。これだけの打撃をカバーする“打ち出の小槌”などありません!
しかも財務省は「TPPの範囲内だ」という官邸の宣伝に悪乗りし、国内対策を「輸出競争力強化につながる対策」だけに絞りこむことをねらっています。安倍首相は所信表明演説で「農家の皆さんの不安にもしっかり向き合い、十分な対策を講じる」と言いましたが、口先だけ。
TPP11、日欧EPAに続き日米貿易協定に突き進む“安倍暴政台風”を許すわけにはいきません。
[2019年11月]
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