「農民」記事データベース20191028-1382-01

台風19号
農畜産業に最悪の被害

農民連本部が現地調査

関連/台風19号被害支援募金


家も田畑もハウスも
泥まみれ

 10月12日から13日にかけて上陸した台風19号は、記録的な大雨により宮城県や福島県、長野県など7県64河川で111カ所の堤防が決壊し70人以上が亡くなるなど、甚大な被害をもたらしました。

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天井のすぐ下まで浸水した佐藤佐市さん(左)のハウス。泥が押し寄せ、つぶれてしまいました(二本松市)

 各地の農民連が被災者救援や炊き出しなどに奮闘する中、農民連本部は16日、笹渡義夫会長が福島県の被災地を訪ね、激励と視察を行いました。

 午前中は伊達市を調査。福島県農民連の佐々木健洋事務局長と福島県北農民連の冨田久夫会長、服部崇事務局長が同行しました。

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小屋の土台ごと斜面が崩れ、半分が宙に浮いています(伊達市)

 市街地も浸水被害を受けた伊達市梁川町。同町舟生の組合員Sさんを訪問。自宅近くの山が崩れ、土砂が母屋そばまでせまりました。家につながる市道も土砂で埋まり、阿武隈川の氾濫で集落に至る道路も寸断。一時孤立状態になりました。

 「夜中の11時くらいに山が崩れ、真っ暗な中家の裏の崖を滑り降りて町内会長の家に避難しました。灯油缶を使って雨量を測っていたら500ミリを超えました。こんなこと初めて」とSさん。

 同じく梁川町の山舟生に住む佐藤節子さん(67)宅では、あんぽ柿の加工小屋の地面が崩落し、半分宙に浮いていました。

 「雨と風の音で崩れたことは家の中から分かりませんでした」と佐藤さん。「自宅の被害はなかったですが、山からの水が庭に流れ込み、下の川のあふれた水と合わせて斜面を削っていきました」と状況を話しました。

 梁川町向川原の草野善章さん(69)は水耕栽培のイチゴハウスが水没。4棟のうち2棟のイチゴ棚が倒れ、加温用のボイラーや、水耕栽培用のポンプなども水に漬かり壊れました。

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イチゴ棚が横倒しになった草野さん(右)のハウス(伊達市)

 「イチゴの苗は土耕で作って無事だったので、棚を直し、土を入れ替えればイチゴを続けられるが、来年もまた水害が起きたらと思うと、作物を変えることも考えています」と草野さんは悩んでいます。「毎年地域の子どもたちに無料でイチゴ狩りを楽しんでもらっていました。がっかりさせてしまうのが残念です」と話します。

 二本松市でも阿武隈川の支流があふれ、稲刈り前の田んぼや畑に泥が流入するなど被害が出ました。同市東和の佐藤佐市さん(67)=安達地方農民連会長=も被害を受けました。露地の畑と12棟のハウスが水没し、6棟は倒壊しました。倒れなかったハウスも一部傾いたり、内部に大量の泥が入るなど、大変な状況です。

 「ハウスで育てていたレタスやホウレンソウなども泥に埋もれてしまいました。自宅も縁の下まで水が上がってきました」と佐藤さん。「一部の機械は以前の大水の経験から、家の方に移しておいたので無事でしたが、大半の農機具も水没してしまいました」

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民家の横の山が崩れ、土砂や岩が水とともに倉庫や住宅をおそいました(伊達市)

 有機栽培で野菜を生産していた佐藤さんが丹精込めて土作りに励んでいたほ場も泥の下になりました。

 佐藤さんはこれまで新規就農者の受け入れを積極的に行い、何人もが佐藤さんのもとを巣立ってこの地域に就農しています。その人たちにも被害がおよんでいます。

国は一日も早い支援を

 笹渡会長は「安倍首相はできることはなんでもやると言っています。近日中の農水省交渉を行い、支援策を実現させます」と被災農家に農水省の支援策などを紹介し、「一緒に乗り越えましょう」と激励しました。

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福島県連の本多芳司副会長(左)に見舞金を手渡す笹渡会長


台風19号被害支援募金
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 記号 10030
 口座番号 61671711
 名義人 農民連災害対策本部
ゆうちょ銀行以外の金融機関から振り込む場合
 店名 008
 普通 6167171
 名義人 農民連災害対策本部

(新聞「農民」2019.10.28付)
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2019年10月

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