日米貿易協定署名を強行
トランプ政権のゴリ押し
安倍政権の「ぶざま」な譲歩
トランプ大統領の圧力に屈して日本が一方的に譲歩するだけの日米貿易協定。日米両政府は10月7日(日本時間8日)、ホワイトハウスで署名式を行いました。
トランプ氏はカウボーイハット姿の米国農業団体代表を引き連れて署名式に臨み、「協定は巨大な米国の雇用を創出し、投資や貿易を拡大し、米国の貿易赤字を大幅に減らすだろう。米国の農家にとって、とてつもない勝利だ」とぶち上げました。
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9月25日の日米首脳会談に同席したカウボーイハットの米農業団体代表(左側)=Agnewswireから |
協定が公表されたとたん、トランプ政権のゴリ押しぶりと、安倍政権のぶざまな譲歩、そしてそれを覆い隠すためのウソとゴマカシが次々に明らかになっています。
農産物市場開放 日本は米国の200倍
安倍首相は「日米ウイン・ウイン」(双方に利益)を強調しますが、米国政府の発表によれば、日本の農産物市場開放は7700億円に対し、米国は40億円。実に200倍です。品目数でも日本600に対し、米国の農産物は42。
「和牛輸出拡大のチャンス」という宣伝もインチキです。TPP(環太平洋連携協定)では現在200トンの対米輸出枠を6250トンに増やし、関税をゼロにするはずでしたが、これらはすべてとりやめ。かわって既存の「その他枠」(約6万トン)に入れるというのですが、この枠は満杯状態で、TPPの枠を確保できる保証はありません。
米国は牛肉輸入枠を1トンも増やさず、日本には撤廃に等しい関税9%を押しつけ、36%に下がった牛肉自給率をさらに引き下げさせる――不平等協定そのものです。
「自動車の関税撤廃」は空手形
「アメリカに自動車・部品の関税撤廃を約束させた」という安倍首相の言明はウソっぱちです。協定文附属書U(正文は英文のみ)に書いてあるのは「自動車と自動車部品の関税の撤廃については、今後のさらなる交渉次第である」ということだけ。
「今後の交渉次第」を「撤廃約束」にすり替える――“偽造・捏(ねつ)造・安倍シンゾウ”の本領発揮といったところですが、国民をだますのもいいかげんにしろ! と言わなければなりません。
もともと“期限なしの撤廃”は完全な空手形であり、これまで日本が結んだ貿易協定には“期限なしの撤廃”という事例はありません。大統領選に向けて、アメリカは撤廃を拒否したと宣伝し、日本は空手形の「撤廃」を勝ち取ったと宣伝するネタにすぎません。
次の攻撃対象は米
“日本は米を守り、アメリカは自動車を守った痛み分け”という見方が一般的ですが、今後、トランプ政権が自動車追加関税25%を突き付け、貿易協定にある「“アメリカはさらに日本に譲歩を迫る”」条項を使い、本格的な日米FTA(自由貿易協定)に向けた第2ラウンド交渉で米輸入の国家管理廃止を含む完全な自由化を迫ってくることは目に見えています。
国会承認阻止の世論と運動を強めよう
国会承認阻止、日米FTA中止の世論と運動を
日米貿易協定の国会審議は24日から始まる見通しです。協定は公表されましたが、トウモロコシの“爆買い”を含めて密約と闇に包まれています。
野党は、協定に対する厳しい批判を強めており、予算委員会での集中審議や、特別委員会の設置を求めています。
国民と野党の共同で協定案の国会承認をやめさせ、本格的な日米FTA入りを中止させる世論と運動を今こそ強める時です。
(新聞「農民」2019.10.21付)
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