「農民」記事データベース20191014-1380-08

エコひいき農業で
野菜をつくろう!
第6回

堀 俊一


害虫の活動10月末まで

 ホウレンソウのおもな病害虫は、ベト病、立枯れ病、ヨトウムシ、ネキリムシ、ハダニです。

 これらの被害には季節的なかたよりがあり、涼しくなるのを待って10月20日ころに播(ま)くと、ほとんど被害が出ません。さらに、私の地域ではこの頃に播くと甘みののった、うまいホウレンソウが年内からとれました。

 しかし、この旬のホウレンソウ作りが気候温暖化で困っています。その理由は、以前は10月20日ころに播種(はしゅ)していたものが、害虫対策のために10月末になったからです。

ホウレンソウ作りを
じゃまする気候温暖化

 温暖化によって秋の気温低下が遅くなり、害虫の活動が10月末まで終息しないのです。遅く播くと冬の寒さがやって来るまでに十分成長せず、出荷が年明けになります。しかし、秋まきホウレンソウは花芽が生長すると味が落ちるので、私の地域の収穫期は3月中旬までです。結果的に収穫期間が短くなり、収量も減ります。

画像
日よけのアマガエル

 この対策として、12月にポリトンネルをかけて生育を促します。以前はトンネルがけをしなかったものが、気候温暖化によってトンネルがけをすることになったのです。なんともつじつまの合わないことです。

 気候温暖化による生きづらさはすぐ足もとまで迫っています。また、環境保全に配慮した有機農業への取り組みは重要です。生産者、消費者ともにみんなの課題です。エコひいき農業で一歩踏み出してください。

(新聞「農民」2019.10.14付)
ライン

2019年10月

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