築地閉場・豊洲開場から1年進む大手流通資本の進出
市場関係者の声の反映を9月16日、東京・四ツ谷で、シンポジウム「築地閉場、豊洲開場から1年」が開催されました。実行委員会を代表して宇都宮健児弁護士のあいさつのあと、全労連・全国一般東京中央卸売市場労働組合の中沢誠委員長が、開場後の豊洲市場の床の耐加重問題に加えて、「築地では平面移動だったが、豊洲ではエレベーターやスロープによる縦移動が多く動線も複雑で事故が多発している」などと問題点を告発。 築地女将さん会の山口タイ会長は「豊洲市場で心配していたことが次々と起こっている。駐車場が遠く、料金も高い。不便だからお客さんが減ってひまだ」などと報告。 上智大学の北条勝貴教授は、「アジアの卸売市場も規制緩和が進み、大手流通資本の進出や規制緩和で本来の『取引の公共性』が軽視されている。国内でも、中央卸売市場の周辺に大手流通資本がショッピングモールの建設計画を検討しているようだ」と指摘しました。 広島大学の三国英實名誉教授が、「卸売市場法は何が変わったか」と題して、東京都が7月26日に発表した文書「卸売市場法改正を踏まえた東京都卸売市場条例について」の問題点を報告しました。 現行法で、中央卸売市場の開設は農林大臣の「認可」、地方卸売市場の開設は都道府県知事の「許可」から、「認定」に変更。それにより、施設規模の条件を満たせば「民間企業」でも卸売市場の開設が可能になり、さらに、開設区域の設定、整備方針と整備計画などの条文を削除したことから、「全国的な卸売市場の配置と整備に責任を持つ者がいなくなった」と指摘しました。
取引の公共性を確保するための取引原則も「差別的取り扱いの禁止」と「受託拒否の禁止」だけを残し、「第三者販売の禁止」や「直荷引きの禁止」条項などは削除し、市場ごとに、開設者が順守規定として定める「共通ルール」と「その他の取引ルール」を策定するとしました 東京都は、卸売市場法の改悪に沿った条例案を発表。さらに、7月に「市場活性化を考える会」を設置し、「強固な財務基盤の確保を図るため民間経営手法の検討など、都が戦略的市場運営を推進していくため、令和2年度末までに経営計画を策定する」などと定めたことから、「この会には、市場関係者は入れず、民営化の方向が強まるのではないか」と三国教授は指摘しました。
(新聞「農民」2019.10.7付)
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[2019年10月]
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