「農民」記事データベース20190930-1378-08

台風15号 千葉県

暴風・停電で各地 被害甚大

農民連本部・ふるさとネット現地調査


ナシ農園、豊水7割落果
ネットの補修来年間に合うか

 台風15号により大きな被害を受けた千葉県に、9月14日、農民連本部と農民連ふるさとネットワークが調査に入りました。

 香取市でナシを1・7ヘクタール生産している小林文雄さんの農園では、防風、防雹(ひょう)、防虫を兼ねるネットが風で裂け、収穫真っ最中だった豊水が落下してしまいました。小林さんはこれまで、贈答用として年間200件余りを全国の固定客に直売。幸水の出荷が終わり、主力品種の豊水は2割の収穫を終えたところで今回の台風が来襲し、約7割が落果。残った実も傷がつき、出荷は難しい状況だと言います。

 「40年以上、ナシを作ってきて、こんな被害は初めてだ」と小林さん。ナシにも共済制度はありますが、ほとんどの農家は未加入で、小林さんも入っていませんでした。「掛け金が高く、被害を受けても3割は足切りになり補償されない。収穫半減でも補償は2割分しかされないし、この防風ネットのおかげで3割もの被害なんてこれまでなかったから」と、小林さんは言います。

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被害を訴える小林さん(左から2人目)

 1反で15万円は下らないというネットやワイヤーも、補修をするにも来年までに間に合うかと心配しています。

 多古町旬の味産直センターが新規就農者の育成のため立ち上げた生産法人、有限会社ゆうふぁーむでは、倉庫の屋根が防風でめくれ上がり、ガラス窓も飛ばされる被害を受けました。主力作物のニンジンやキャベツも、植えたばかりの苗が風で飛ばされ、ほぼ壊滅状態になってしまいました。

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屋根と壁、窓がとばされた「ゆうふぁーむ」(多古町)の倉庫

停電で扇風機止まり母牛死亡
被害総額多く、酪農家離農も

 睦沢町の酪農家、中村種良さんの牧場では、猛暑のなか停電で扇風機が止まり、出産を間近に控えた母牛が暑さで1頭死亡しました。もう1頭も体調を崩し、廃用にせざるをえませんでした。搾乳も2日近くにわたってできず、乳房炎になった牛が5頭に及んでいます。

 中村さんは、「今回の停電で、おなかの子牛の分まで入れると、被害総額は200万円近くなるのではないか。今は母牛の価格が高くて、再導入しようにもたいへんだ。いつやめようかと悩んでいた酪農家には、これが離農のきっかけになってしまうのではないか」と、強い懸念を示しました。


 関東地方台風15号被害支援募金
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 記号 10030
 口座番号 61671711
 名義人 農民連災害対策本部
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 店名 008
 普通 6167171
 名義人 農民連災害対策本部

(新聞「農民」2019.9.30付)
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2019年9月

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