自治体農政シンポ
国の下請け機関ではなく
自ら決め行動を
全国町村会は8月31日、都内で「都市農村共生社会創造シンポジウム〜これからの自治体農政のあり方〜」を開きました。
全国町村会の武居丈二事務総長が主催者あいさつ。住民へのサービスの安定供給など自治体の役割について語り、「農政がその中心的位置づけにある」と強調。「農業・農村の価値抜きには日本の将来は考えられない」と述べました。
明治大学教授でシンポのコーディネーターを務めた小田切徳美教授が「自治体農政とは何か」について講演。1977年の「地域農政特別対策事業」を契機に始まった「地域農政」は、人と土地を一体としてとらえ、新しい村づくり運動を展開したことを振り返り、「集落をはじめ地域を政策展開の基盤や対象として位置づけた」ことを評価しました。
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討論する(左から)小田切、役重の各氏ら |
一方で、1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」(新基本法)には当初、地域別農政に加えて国と自治体の「相協力」農政がうたわれていたものの、現実は、中央集権体制が強化され、「競争力強化」を目標に全国一律農政へと傾斜したこと、自治体が国の農政のための調査機関化されたことなどを指摘しました。
これからの自治体農政の
あり方を考える
「自治体農政の現場から」として基調講演を行ったのは、岩手県立大学講師の役重眞喜子さん。農水省勤務をへて、岩手県の旧東和町(現花巻市)に移住し、役場職員として勤務した経験を語り、(1)職員の多忙化と疲弊、(2)地域とのつながりの遊離、(3)地域の機能低下――の問題点をあげました。
こうした現実を踏まえ、自治体としては、「職員の地域活動の応援、行政ニーズと活動のマッチング(統合)などが求められている」と語りました。
その後、報告者と参加者とで、自治体農政の現状や課題、その可能性について討論。「活性化プラン」の策定や地域特産物のへの取り組みなどの実践が報告されたほか、地域が自己決定権をもつ農政を確立し、現場での自治体農政のあり方への議論が呼びかけられました。
(新聞「農民」2019.9.23付)
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