農家が得する
税金コーナー
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自主計算・自主申告は
『税金ノート』の記帳から
8月5日に開いた「農民連役員・専従者研修会」で税金をテーマにした分散会が行われ、各分散会で税金の自主計算・自主申告について活発な討論がされました。
農民連近畿ブロックでは研修会に先立つ6月28日に、「確定申告・自主計算・自主申告をすすめるために」をテーマに学習会を開き、講師に全国商工団体連合会の中山眞常任理事を招きました。2府4県から15人の役員・事務局と全国連の長谷川敏郎副会長(税対部長)、吉川利明事務局長が参加しました。
自主的に助け合う活動は
税理士法違反とは無縁
申告も納税額も農家自ら決める
中山氏は、倉敷民商弾圧事件を事例に自主計算・自主申告の取り組みについて、会員が「全て他人任せで自分は何もわからない」といった状況を作らないことが、税務署に税理士法違反の口実を与えないことにつながると述べ、『税金ノート』の重要性を強調しました。
また、「申告納税制度のもとで、申告は農家自らの意思で行い、納税額を決めるのも農家自身である。自主的に集まって話し合い、相談し助け合う活動は、記帳代行や税理士法違反とは無縁だ」と指摘しました。
さらに、中山氏は、行政庁との結びつきも強い中小企業団体中央会の「組合が行う税務相談等と税理士法との関係について」のQ&Aで「組合員多数のために行う税務講習会、経理指導に付随し、たまたま行う税務相談等はその対象(税理士法違反)にならない。また、日常の記帳、決算の指導代行を行うことも差し支えない」と記載されている事例も紹介しました。
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講演する全商連の中山常任理事
(大阪農民連会議室で) |
「みんなが先生 みんなが生徒」
学習会参加者からは、「人数(150人)が少ないからできるかもしれないが、記帳会のときは、会員と隣同士で並んで座り、わからないことがあれば事務局がメモ用紙に書いて説明する。申告書の控えも提出用も会員自身が書き込むようにしている。このやり方を貫きたい」、「今までは記入できたけど、高齢化で申告書を物理的に書けない会員も増えてくる。ここでも後継者対策が必要だ」、「3月の申告期限が迫ってくると、ついつい事務局が手を出してしまいがちになる。会員に申告を理解してもらう努力をもっとしていきたい」などの感想や意見が出されました。
最後に、各府県で様々なやり方はあるものの、農家が他人任せでなく、自分で書いたものであるという自覚が持てるよう、『税金ノート』の記帳、収支内訳書や申告書の作成を「みんなが先生、みんなが生徒」の関係で進めていくことを参加者同士で確認しました。
(新聞「農民」2019.8.26付)
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