農民連青年部夏の学習交流会in石川
加賀百万石のアグロエコロジー
農民連青年部は7月28、29の両日、夏の学習交流会を石川県の小松市と加賀市で開催しました。前日の激しい雨とは打って変わって晴天にも恵まれ、参加者は交流を深めました。
テーマは会場の石川県にちなみ「加賀百万石のアグロエコロジー」に設定。目的は、持続可能な農業を目指し、有機農業や環境保全型農業の実践例の視察と、社会運動としてのアグロエコロジーも学習し、参加者それぞれがアグロエコロジーのアクションプラン(実践目標)を立て、交流することとしました。
有機栽培や環境保全型農業の
先進地を視察
困難に負けずに有機で野菜生産
28日は小松市周辺で有機農業や環境保全型農業に取り組む農家を視察しました。小松市の西田農園では、代表の西田隆宏さんが迎えてくれました。西田農園は、小松市の中山間部でJAS有機栽培で野菜を生産。飲食店などに出荷をしています。ほ場を見学しながら話を聞きました。
西田さんは昨年の大雪でハウスが雪に埋もれながらも、25ミリのパイプを使っていたのでほぼ被害がなかったことや、有機栽培ゆえに虫や雑草とのたたかいが大変なこと、しかし連作障害がほとんど発生していないことなどを説明しました。
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西田農園のほ場を真剣な表情で視察する参加者 |
カモの餌場守る環境保全型稲作
続けて加賀市の「かが有機農法研究会」を訪問。会長の田中友晴さんと会員の山本勇さんが対応してくれました。
かが有機農法研究会は加賀市の片野鴨池に飛来するカモの餌場となっている柴山潟干拓地の水田をラムサール条約に登録しようと、環境保全型農業にとりくんでいる生産者のグループです。生産者がそれぞれ工夫して無農薬や減農薬栽培(除草剤1回のみ)などで米の生産をしています。
田中さんは深水管理と米ぬか散布で草の発生を抑制しています。「深水管理をするのに、もぐらなどがあぜに穴をあけるのが一番困ります」という田中さん。その対処に鷹などの猛きん類の力をを借りることにしたのですが、干拓地の水田で止まり木となるものがありません。そこで「足場となる猛きんポストを立てた」といいます。
参加者からは「飛来するカモへの被害は」と質問がありましたが「時期がずれているから大丈夫」との回答。まさに地域の環境と共生した農業を実践しています。
また、研究会は幻の米「農林21号」の復活にも取り組んでいます。小学生とともに種子の生産を行っている小学校の実習田も見学しました。
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手前が幻の「農林21号」の種子を生産する田んぼです |
「アグロエコロジー」の
アクションプランを決めよう
世界変えるため消費者と歩もう
2日目は農民連の齋藤敏之常任委員を講師に、「アグロエコロジーとは?」をテーマにした学習会をまず行いました。
齋藤さんは日本や海外でのこれまでの運動を振り返り、「国際農民組織ビア・カンペシーナは、これまで進められた工業的農業は地球の持続性を『危機的な状況に追い込んでいる』としている。これを変えうるのがアグロエコロジーだ」とその意義を解説。「世界を変えるのは消費者とつながることにかかっている。そのために生産者が主体的に持続可能な生産を、消費者とともに運動として取り組むことが重要だ」と話しました。
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水田が広がる柴山潟干拓地。右に立つのが「猛きんポスト」 |
相談しあって実践目標決める
学習会に続いて少人数のグループに分かれアクションプランの相談。自分を取り巻く状況を説明しながら、自らに何ができるのか考えていきます。
参加者からは「農家はコミュニケーションが苦手な人が多い。面倒に感じるかもしれないが農業は助け合うことで楽になる。もっと積極的に人とかかわろう」と地域でのかかわりを促すものや、「学習会を開いて伝えてアグロエコロジーを広めたい」「消費者に直接伝える場が必要。自治体にファーマーズマーケットの場所を紹介してもらえるよう交渉したい」など、具体的なアクションプランが語られました。
(新聞「農民」2019.8.12付)
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