「農民」記事データベース20190812-1372-05

参議院選挙の結果

 前号につづき、参議院選挙での市民と野党の共同による勝利の奮戦記を紹介します。


秋田

日米FTAノー

イージス・アショア配備許さず

 秋田では、3年前は統一候補でたたかいましたが、東北で唯一、自民現職に議席を許してしまいました。今回も市民連合と野党が共闘し、寺田静さんを統一候補に擁立し、自民・公明・維新が推す現職候補との一騎打ちとなりました。

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初当選を喜ぶ寺田さん(右から3人目)

 市民連合と野党と寺田さんとの間で、13項目のほかに、日米FTA阻止、価格保障・所得補償の実現、イージス・アショア配備反対も政策に加えました。

 県農民連常任委員会では、家族農業と地域の再生、食料自給率向上等の実現のために、寺田さんを全面的に支援することを決め、農民連ニュースを届けて奮闘を呼びかけました。

 選挙が終わるまで、日米交渉の内容は明らかにしないという安倍・トランプの密約は、農家の怒りを買い、「農業でメシ食えねえ」「このままでは地域もつぶれる」「農業がこんなに痛めつけられても農政連は自民党を推すのか、何を考えているのか」など安倍政治に対する怒りが次々と出されました。

 秋田では、イージス・アショア問題も大きな争点に。もともと、トランプいいなりの兵器爆買いの一つで、アメリカを守るためのシステムであり、「住宅密集地になぜ?」という疑問にまともに答えず、“新屋(配備予定地)ありき”の姿勢が露骨でした。秋田魁新報の世論調査でも6割以上が「反対」でした。

 選挙の終盤、安倍首相と菅官房長官がそれぞれ2度も秋田入りしましたが、結果は、寺田さんが2万1千票の差をつけて勝利しました。

(秋田県農民連委員長 鈴木万喜夫)


大分

野党の政策協定実を結ぶ

組合員、新聞「農民」号外を配布

 大分県は3年前の参議院選挙で共産党が候補者をおろしたために、民進党の候補者が当選した九州で唯一の県でした。今回は自民党優勢がいわれていました。

 今回の野党統一は、前回とは違い、立憲民主、社民、国民民主、共産の各党と市民連合が10の政策協定を結んで選挙をたたかいました。

 野党連合の統一候補は新人でしたが、後半になって力を発揮しました。農民組合とは、政策協定は結んでいませんでしたが、組合員各自は地元で新聞「農民」号外を各地で配布。べっぷ日出農協総会で、私が「自民党を推すことは農業や農協がつぶされてしまうことを意味するのではないか。TPP、EPA、FTAの問題などを提起して、政党支持は自由にすべきだ」と質問。組合長が「政党支持は自由にします」と答弁し、多くの代議員から拍手がありました。

 農協のふれあい販売所などで「農民」号外を配布しながら対話すると、「今回は自民党には入れない」と言われました。

 野党統一候補の安達澄さんが、自民党現職で安倍首相の補佐官も務めたこともある候補に約1万6000票の差をつけて初当選しました。選挙戦序盤は、安倍首相を先頭に自民党幹部らが続々と支援に入り、自民党本部主導でテコ入れを図るなど現職が優勢でしたが、その後猛追し、最終盤まで横一線の大接戦でした。

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街頭で訴える安達さん(右)

 安達さんの「現場と地方を大事にする」という主張は、無党派層にも支持を広げ、安倍・自民党に不満をもつ人たちの共感を得たことが勝利につながったと思います。

(大分県農民連会長 佐藤隆信)


沖縄

揺るがない新基地建設反対

後援会に参加し支持拡大奮闘

 沖縄では、「オール沖縄」の支援を受けた高良鉄美氏が自民公認、公明・維新推薦の候補に6万票余りの大差をつけ、初当選しました。昨年の知事選、辺野古新基地埋め立ての是非を問う県民投票に続く勝利です。

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玉城デニー知事(右から8人目)らとともに当選を喜ぶ高良さん(同6人目)

 悲劇の島、沖縄。74年前、絶対主義的天皇制軍国主義が引き起こした侵略戦争で日本で唯一、地上戦が行われ、大きな犠牲の地となりました。

 「沖縄に新たな基地はいらない」「建白書の理念を守る」「辺野古に新基地は造らせない」「普天間基地は閉鎖、撤去」「オスプレイ配備は許さない」など、基地問題で圧倒的な訴えを繰り広げてきた高良氏。

 相手候補が、争点そらしに終始するなか、憲法学者という経歴を生かしての政策論戦で、常に相手候補をリードしました。琉球新報は「新基地建設反対の民意が揺るがないことが改めて示された」と書きました。

 相次ぐ投票結果を一顧だにせず、新基地建設工事を強行している政府に対する県民の強烈な批判、審判であると同時に「改憲を許さない」という県民の強い意思の表れでもあります。

 高良氏は、政策に農産物の輸入自由化反対も掲げました。沖縄は、サトウキビ、畜産を基本に花き、園芸、熱帯フルーツなども生産されています。日米FTAで輸入自由化を許せば、沖縄の農業は壊滅的な打撃を受けることになります。

 農民組合としても、会員が高良氏の後援会に参加。支持拡大でもがんばり、勝利に貢献しました。

 基地を許さず、沖縄農業を守るたたかいをともに進めていきます。

(沖縄県農民連会長 中村康範)

(新聞「農民」2019.8.12付)
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2019年8月

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