生産現場は問題がいっぱい
大手商社 住友商事が
バナナ事業の子会社 スミフルの株を売却
「日本のお店に並ぶバナナの3本に1本」――つまり日本のバナナ輸入の3割以上を手掛けるという超巨大企業「スミフル(旧:住商フルーツ)」。スミフルによって日本に輸入されるバナナの多くがフィリピン南部のミンダナオ島で生産されており、現地法人のスミフル・フィリピンの親会社、スミフル・シンガポールは日本の大商社、住友商事の子会社です。
農園での労働問題を追及され
このスミフル傘下のバナナ農園や梱包(こんぽう)工場では、労働者が非正規雇用となっており、低賃金・長時間労働を強いられる、農薬で健康を害しながら働いている、有給休暇や産休制度がないなど、過酷な環境のなかで働いています。
こうした事態に、労働者らは2008年に労働組合を結成。昨年にはいよいよストライキを決行し、たたかいを強めてきました。
ところがスミフルは労使交渉を拒否。その一方、ストをたたかう労働組合のピケが軍や警察に組織された暴力集団に襲撃されたり、リーダーの自宅が複数回にわたって放火される、果ては若いリーダーが殺害される(犯人はいまだに逮捕されていない)などの事件が起こっています。
このような事態のなかで昨年11月と今年6月、労働組合の関係者らが来日し、日本でもスミフルと親会社である住友商事の責任を問う声が高まっていました。
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昨年11月にスミフル本社前で行われた連帯行動 |
しかし住友商事は6月、スミフル・シンガポールの株式をすべて売却し、バナナの生産から撤退すると発表。日本で労働者らの支援に取り組んでいるエシカルバナナ・キャンペーン実行委員会は緊急声明を発表し、「問題を放置したままの撤退は許されない。住友商事は株式売却する前に、バナナ生産現場での労働・人権問題に責任ある対応を」と求めています。
(新聞「農民」2019.8.5付)
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