「農民」記事データベース20190805-1371-07

改憲勢力「3分の2」阻止
安倍政権に痛打


宮城

安倍農政ノーの勝利

県北・農村部での支持広がる

 開票結果のたびに順位が入れ替わるなか、9500票差で、市民と野党の統一候補、石垣のりこさんが、宮城選挙区の激戦を勝ち抜きました。

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聴衆の声援に応える石垣さん(左から3人目)

 対立候補の愛知治郎候補は、祖父と父と3代続く現職の国会議員であり、後援会組織も強い候補者でした。安倍首相をはじめ幹部が応援入りし、テコ入れをした中での野党統一候補の勝利は「安倍農政」にノーを突き付ける結果となりました。

 宮城農民連は、鈴木弥弘事務局長が石垣事務所を訪れ、直接本人に参院選で全力で支持することを伝え、日本農業の発展と安定的な食料確保のための政策要望書を提出。(1)農家への直接補償制度をヨーロッパ並みにする(2)環境直接支払い予算を拡充し、環境持続型農業を推進する(3)国連の「SDGs」(持続可能な開発目標)や国連「家族農業の10年」実現のため、国内でも家族農業支援に重点を置く、アグロエコロジー推進、食料主権を農業施策の柱にすえる――ことを求めました。

 さらに農民連は、新聞「農民」号外5万5千部の配布や『日米FTAパンフレット』を活用し、積極的に石垣候補の支援を行いました。今回は県北地域の農村部での支持の広がりが特徴でした。

 トランプ大統領との密約にほおかぶりし選挙が終わってから実行する。そんな、安倍農政は信じない人達が増えてきたことを実感しています。

 今回の選挙を通じて共感できた方々と一緒に、日本の食と農を守り発展させる運動に取り組みたいと思います。

(宮城農民連会長 嶺岸若夫)


長野

自民参院議席なくなる

新聞「農民」号外フルに活用

 参議院選挙の投票が締め切られた瞬間、テレビで「羽田雄一郎氏当確」のテロップが流れました。これで、参議院1人区の長野県に自民党議員がいなくなりました。前回の統一候補、杉尾秀哉さんに続き市民と野党の勝利です。しかも得票差は2倍となりました。

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声援に応える羽田さん(右から2人目)=7月18日、松本市

 県連は三役会議で安倍「官邸」農政とたたかい、参議院選挙では「市民と野党の統一候補」を支持することを確認しました。竹上一彦会長ら役員が羽田統一候補事務所を訪れ、支持表明と3項目の政策提案を行いました。

 選挙事務所役員は「戸別所得補償は民主党政権が実現した。候補者にも街頭で話すよう伝える」と賛意が表明されました。このことを組合員と新聞「農民」読者に伝え、当選めざしてがんばることを訴えました。

 一方、農政連は、「准組合員制度を守るために」と比例区で自民党候補を推しましたが、選挙区では目立った動きを取りませんでした。

 長野県の農家にとっては非常に忙しい時です。ここで力を発揮したのが新聞「農民」号外でした。各地で折り込みや戸別配布で対話に生かしました。NPO法人からは、「非常にわかりやすい。皆に配りたい」と100部注文がありました。また、農業関係出版社の元職員の方からも「よく分かる」と評判でした。

 南部の上伊那地方では市民連合事務所が設けられ農民組合の組合長も詰めて活動しました。また、夕方からの電話かけに徹し、500人以上に支持を訴えた組合員も現れました。今後、要求に基づき要請することも確認しています。

(長野県農民連事務局長 菊池敏郎)


滋賀

元知事の知名度生かす

農民連奮闘 農村部で大きな変化

 滋賀県は全国一の琵琶湖を抱え、その周りを山林が取り巻き、枯渇しない豊かな水が流れ込んでいます。豊かな水と広がる農地、温暖な気候でおいしい近江米や近江牛など、全国ブランドの生産地となっています。京阪神のベッドタウンとして開発も進んでいます。

 滋賀県から選出される国会議員(衆院議員4人と参院議員2人)の計6人はすべて自民党でしたが、6議席の一つを今回の参院選で野党共闘の嘉田由紀子候補が自民現職に1万4千票差をつけて勝利し、自民独占が崩れました。

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当選を喜ぶ嘉田由紀子さん(中央)

 嘉田さんは、県知事を2期8年務め、環境学者の知事として、広く支持を得てきました。また、ダムや新幹線新駅を中止するなど思い切った政策を進めてきた実績もあります。

 今回の勝利は、野党4党が13項目の政策協定を結んでたたかったことに加え、元知事の知名度と「もったいない」の立場で税金の使い方を厳しくチェックしてほしいという県民の期待が広がった結果だと思います。

 嘉田さんへの支持は、大津市や彦根市など都市部だけでなく、農村部でも大きな変化を起こしました。米生産が中心の県内農業は後継者が育たず、家族農業が崩壊しつつあります。中山間地では荒廃農地が広がり、集落機能も低下しています。こうしたなかで、今回の結果は国内農業を危機に追いやり、日米FTA交渉を加速しようとしている安倍政権への厳しい審判となりました。

 政策協定を結んだ戸別所得補償制度と種子法の復活を求め、国連「家族農業の10年」の農政実現に向けた運動を大きく励ます結果でした。

(滋賀県農民連事務局長 杉田聡司)


愛媛

農林水産業の育成掲げ

農民連 勝利へ盛り上げに全力

 愛媛選挙区は、自民党にとっても最重点区で、安倍首相をはじめ菅官房長官、農水大臣、小泉進次郎氏らが応援に入り、すさまじい組織戦を展開しました。

 保守王国だけに厳しさを痛感していましたが、投票が近づくにつれて地域の世話役から、無所属の野党統一候補、永江孝子氏への支持表明が寄せられるなど、支持が広がりました。前回の参院選以来3年間の地道な活動が実り、今回、自民党新人候補に約8万7千票の大差をつけて勝利しました。

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永江さん(左から2人目)も参加した愛媛県連大会=4月24日、内子町

 愛媛県農民連は4月の県連大会で永江氏に来賓として参加してもらい、いち早く同氏の推薦を決議し、推薦団体「青空えひめの会」に参加。選挙直前の集会では、野党各党の代表と並んで県連代表が出席し、紹介され、あいさつするなど、選挙勝利に向けた盛り上がりに少しは貢献できたと自負しています。

 永江氏は、野党各党からの正式な推薦を受けなかった事情もあり、県連としても推薦にあたり確認文書等は取り交わしませんでした。しかし、公約に「戸別所得補償制度で、対象を米や麦だけでなく、果樹や野菜にも拡大し、がんばる農家1軒1軒を支えていく。農林水産業などの1次産業を特別な産業として、政策でしっかり育成する」と掲げました。

 愛媛では、昨年7月の西日本豪雨災害から1年が経過。崩壊したミカン園地などの生業と生活の復旧復興、ダム放流問題も選挙戦の争点になりました。自民候補を応援する前知事の「ダム改造工事が旧民主党政権で凍結され、被害が拡大した」という発言に住民・市民団体が抗議し、デマを跳ね返しました。

(愛媛県農民連会長 森井俊弘)

(新聞「農民」2019.8.5付)
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2019年8月

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