概算要求へ向け農水省要請
日米貿易交渉の中止
米政策の見直しを
TPP水準でも大問題
再生産可能な農政を
参議院選挙直後の7月23日、「軍事費を削って暮らしと福祉・教育の充実を」国民大運動実行委員会は来年度予算の概算要求に向けた省庁要請行動に取り組みました。
農水省への要請行動には国民大運動の渡辺正道事務局長のほか、農民連の笹渡義夫会長、吉川利明事務局長、農民連ふるさとネットワークの湯川喜朗事務局長らが参加。日米貿易交渉の中止や米政策の見直しなどを要請しました。
日米貿易交渉について、農水省は「交渉に影響するから、内閣府から発表されている以上のことは明かせない」「農水省としては国内の再生産が確保できるようにする」という返答に終始。
米の国別特別枠対策としても「国内市場への影響は備蓄米の買い入れを増やして遮断する」と従来通りの説明です。
笹渡会長は「『TPP(環太平洋連携協定)水準が最大と合意している』と言うが、交渉相手のトランプ大統領は「TPPにしばられない」と首脳会談の記者会見で発言している。うそでごまかそうとしているようにしか見えない」と指摘。そのうえ「TPP水準であっても国内農業に甚大な影響を及ぼす。農水省自ら言ったように国内の農業がだめにならないよう全力を尽くすべきだ」と要請しました。
米の特別枠輸入対策についても「備蓄米買い入れを増やすというが、市場から国産米を減らし、無理やり外国産米の需要を作るための備蓄運営であり、米の需要が下がるもと食料自給率も下げ続けることになる」と指摘。「オーストラリア枠の約9000トン分の買い増しですらうまく進まず苦労しているのにTPP12で合意された7万トンと言われるアメリカ枠も同じことができると思うのか」との問いにまともな回答はできませんでした。重ねて、「このままでは日本の稲作が崩壊する。消費者も業者も国産米を食べたい、売りたいというのが願いだ。矛盾した政策となっていることをしっかりと認識すべきだ」と訴えました。
また、今年から始まった国連「家族農業の10年」で国連が「グローバルアクションプラン」で求めている、国ごとのアクションプランについて、農水省は「作るかどうかを含めて検討している」という、提案国のひとつとして情けない姿勢が明らかになりました。
(新聞「農民」2019.8.5付)
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