海洋プラスチック問題を考える
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ペットボトルや服など身の回りにはプラスチック製品があふれています |
これらプラスチックごみは波風や紫外線にさらされ、次第に小さく破壊されながらも、数年から数百年もの長期間にわたって環境に存在し続けます。
このプラスチックごみを海の鳥獣が誤って食べることで死に至るケースは多く、またさらに細かく分解され「マイクロプラスチック」(注)となったものはプランクトンや魚に取り込まれ、次第に高等生物に移行していきます。プラスチックごみやマイクロプラスチックは汚染物質を引きつけやすく、それが生物濃縮を引き起こすリスクも懸念されています。
東京湾で取れたカタクチイワシのほとんどの胃袋から、また、各国の海水から作られた食塩の中から、あるいはミネラルウオーターの中にまでマイクロプラスチックが存在していたという調査結果もあります。私たちはすでに日常生活の中でプラスチックごみを摂取してしまっているのです。
少し前までは化粧品や洗顔料・歯磨き粉に研磨剤としてポリエチレンなどのマイクロビーズが含まれており、これらもマイクロプラスチックの発生源になっていたのですが、昨年2月に市販の製品の原材料を見て回った時点でマイクロビーズが含まれている製品はほとんどありませんでした。業界が早めに対策に動いたようです。
18年のG7カナダ・シャルルボワ・サミットでは日米以外の5カ国とEU(欧州連合)が自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に署名。そして先日のG20大阪サミットでは、首脳宣言に、2050年までに海洋プラスチックごみをゼロにすることを目指した「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が盛り込まれるに至りました。
G20大阪サミット |
次号で、別の角度からのプラスチックごみの問題点、農業との関わり、対策などをみていきます。
(注)マイクロプラスチックとは大きさが5ミリ以下のプラスチック粒子。環境中に放出されたプラスチックゴミが波風や紫外線により細かく粉砕されたもの。衣類の繊維カス、化粧品や洗顔料、歯磨き粉に含まれる研磨剤、工業用研磨剤、靴やタイヤのカス等。素材としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど。
[2019年7月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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