エコひいき農業で野菜をつくろう!
第2回
堀 俊一
水、空気、微生物含む
団粒構造の土
肥料もよく保持される
有機農業の土台であり、基本的に重要な技術は土作りです。その成果は、天候不順に耐え、病虫害を軽減し、おいしくて日持ちの良い農産物の生産にあらわれています。大冷害だった1993年に、土作りに励んできた有機稲作農家が平年作に近い収穫量をあげたことは、マスコミにも取り上げられました。
土作りに欠かせないのは堆肥です。堆肥には腐植、土壌微生物、ミミズなどを増やし、土壌の団粒構造の形成をうながすはたらきがあります。また、作物、雑草の別なくイネ科植物の根は、土をしめつける作用があるので団粒構造の形成を助けます。
団粒構造の土には様ざまな形のすき間が無数にあり、水、空気、微生物がほどよく含まれ、肥料もよく保持されます。このことによって、作物の根張りと生育が良くなります。
有機質肥料(表)は、吸水後、土中の微生物によって分解されてから作物に吸収されます。ふつう、肥料成分が水に溶けた状態で吸収されます。有機質肥料は土の温度、水分、酸素供給量などによって効き方が変わります。例えば、土が乾燥しやすい所では分解が遅れ、吸収が悪くなります。
なお、追肥にはぼかし肥がよく使われます。これは、有機質肥料に水を少し加えて好気的条件下で発酵させ、乾燥させて発酵を途中で止めたものです。有機質肥料を直接施用するよりも土にやさしく、早く効きます。
(新聞「農民」2019.7.8付)
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