沿岸漁民を大切にする漁業政策にJCFU全国沿岸漁民フォーラム
世界の流れは「小規模・家族漁業優先」JCFU全国沿岸漁民連絡協議会(以下、漁民連)と「21世紀の水産を考える会」は6月3日、「沿岸漁民を大切にする漁業政策を求めて」と題した漁民フォーラムを国会内で開催。また3、4の両日で水産庁や全漁連(全国漁業協同組合連合会)、マルハニチロなどの大手水産企業、各政党などに要請行動を行いました。
漁獲枠の配分は沿岸漁民優先にフォーラムには、北海道、青森、岩手、千葉、長崎、沖縄など全国から150人を超える漁業者が参加。JCFU事務局長の二平章さんがJCFUのこの間の活動と要望について報告し、「今の漁業政策の根本には、安倍政権の『企業が活躍しやすい国づくり』の方針があり、漁業では漁業権や漁協、小規模沿岸漁民が企業の障害とみなされ排除されようとしている」と指摘。クロマグロの漁獲規制と漁業法改悪の2点から整理し、「世界では小規模・家族経営の農林水産業こそ重視する方向に大転換が始まっている。日本でもこれに沿った漁業政策にするよう、全国の沿岸漁民の力を合わせよう」と訴えました。
長崎県対馬ひき縄漁業協議会の宮崎義則会長は、「今のクロマグロの漁獲規制制度では沿岸漁業者は困窮する一方だ。自分も来年の3月まで1尾も釣れない。しかし大・中型巻き網船が卵を抱えた母マグロも根こそぎ漁獲するのは野放しにされている」と語り、水産行政に小型沿岸漁業者の声を反映させたいと新しい組織を立ち上げ、5325人分もの署名を集めたことを報告。「今後は消費者にも沿岸漁業の現状を知ってもらい、運動を進めていきたい」と報告しました。 クロマグロ漁で名高い青森県大間漁協の泉徳隆さんは、4月に開催された全国クロマグロサミットの様子や、多くの青年後継者がクロマグロ漁に夢を託してがんばっていることを紹介し、「若者が誇りを持ってできるマグロ漁にしたい。全国の漁師の思いを一つにしていこう」と呼びかけました。 青森県三沢漁協のイカ釣り漁師からも「大・中型まき網漁船や底引き網漁船が25グラムほどの若いイカや産卵期の親イカを乱獲し、漁獲資源が減って、沿岸漁民のイカ漁が危機に陥っている」という痛切な発言がありました。「群れごとごっそり網で“巻く”大型船と1匹ずつ釣り上げる沿岸漁民のどちらが資源にいいかは明らかだ。こうした大型漁業をより強くする方向の漁業法改悪にも、われわれ沿岸漁民は決して納得していない。拙速に施行するべきでない」との訴えに、会場から大きな拍手がわきました。
私たちの運動で政策を変えようフォーラムの後半では、農民連国際部の岡崎衆史副部長が「国連家族農漁業の10年」や「農漁民の権利宣言」などの動きについて講演。世界でも漁業者の圧倒的多数が小規模漁業者であり、国連ではいまその役割を再評価し、各国政府にも小規模・沿岸漁業者を保護する政策への転換が求められていることを紹介し、「こうした動きは自然にできたのではなく、国際的農民組織ビア・カンペシーナなど私たちの根気強い運動があったからこそ。日本でも『家族農漁業の10年』を力にして、沿岸漁民保護の政策を実現させる運動を広げていこう」と呼びかけました。
(新聞「農民」2019.6.17付)
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[2019年6月]
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