いい文旦つくって届けたい
土佐文旦の花かけ
高知・土佐文旦
産直協同組合
天候を気にしながら
作業にいそしむ農家
高知県土佐市の文旦の産地では、5月上旬から花かけ(交配作業)が始まりました。
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2年以上の小竹を柄にして、先端のボンテンといわれる耳かきの綿のような部分に花粉をつけて花かけします |
この時期はほとんどの文旦農家に、たくさんの作業員さんが来てくれるので、日ごろは静かな山もにぎわいます。
文旦の花がだいたい三分咲きから四分咲きになれば交配の開始時期といわれていますが、まず文旦に受粉させる小夏の花粉の準備が間に合うかと気をもみます。天候も大問題で、雨ではもちろん作業できませんし、前日の雨の露が葉に残っていても花粉を付ける綿の部分が濡れてすぐ使用不能になります。
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小夏(こなつ)という品種のみかんのつぼみ(写真左)を集めて、花粉(写真右)をとり、文旦の花に授粉します |
また交配した次の日の朝の最低気温が低すぎると、交配した花が落下したり、形状が良くない果実になる可能性も。交配を早くすれば次の日の最低気温が気になるし、交配を遅らせて悪天候にでもなれば間に合わない可能性があります。
だから文旦農家は忙しくてお花見をゆっくりする時間はなくても、文旦の開花の目安になる桜の開花の状態を、花見の場所とり担当の人より気にしています。
そして少しでも良い状態の小夏の花粉を交配するために、小夏のつぼみを集め、花粉をとって乾燥させ、懸命に準備をしてのぞみます。
他の作業もそうですが、交配作業もすべての文旦農家が同じ作業をして、同じ汗をかいています。良い文旦をつくってお客様に届けたい――その強い思いはみんな一緒です。「来年も良い文旦がたくさんできて、より多くのお客様に届きますように」と願いながら花かけにいそしんでいます。
(高知・土佐文旦産直協同組合 西森幹展)
(新聞「農民」2019.6.10付)
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