日米貿易交渉
選挙終わったら大きな譲歩が…
ゴリ押しトランプ大統領
国民だましの安倍政権
市民と野党の共闘で
日米交渉ストップを
「8月には大きな譲歩を期待している」「すべての貿易障壁を取り除き、アメリカ産農産物に市場開放しろ」――5月25〜28日に来日したトランプ大統領は、安倍首相に日米貿易交渉の早期妥結を迫りました。衆参ダブル選挙の可能性もはらむ7月の選挙をはさんで、事態は正念場を迎えています。
新天皇に会見した国賓第1号、升席に4台200万円のソファを置いて大相撲見学、ゴルフと米国産牛肉バーガー接待……。度外れた接待を受けながら、トランプ大統領の頭にあったのは、「アメリカファースト」と、大統領選向け実績稼ぎの「トランプファースト」だけでした。
一方、安倍首相が躍起になったのは、「国益」投げ捨ての姿を国民にさらすタイミングを遅らせ、「とにかく7月の選挙が終わるまで待ってほしい」ということだけ。
そろいもそろって、「国益」ならぬ「政権益」にしがみつく醜い姿をさらけだしました。
言いたい放題 トランプ大統領
トランプ大統領が首脳会談やツイッターで突きつけたのは何か、安倍首相はどう答えたのか、まとめたのが表です。
ポイントは、トランプ大統領が「すべての貿易障壁を取り除きたい」と農産物輸入の全面自由化を要求し、「TPP(環太平洋連携協定)にはしばられない」と言い放って、「TPP水準が最大限」と“TPP並み”発言を繰り返す安倍首相を突き放したこと。
1カ月前の首脳会談でトランプ氏は「5月末決着」を言いだし、あわてて「せめて選挙後に」と泣きついた安倍首相に「貸し」をつくる形で、今回は「8月決着」に微修正しました。しかし、選挙が終われば、アメリカ言いなりに大幅譲歩する「密約」が結ばれていることは明白です。
抱きつき、泣きつき、こびへつらい
安倍首相が記者会見で「8月には決着するのか」「TPPの線は譲れないといってきたことは変わらないのか」と質問されても何も答えることができなかったのは、その裏付けです。
「抱きつき、泣きつき――。トランプ氏に対する度外れた厚遇ぶりには、そんな言葉しか浮かばない」(朝日「天声人語」)、「アベほど大統領のエゴにこびるのに熱心な首脳はいない」(米紙ワシントン・ポスト)泣きつき、コビを売って、「選挙益」「政権益」のために「国益」を差し出す「亡国」「売国」ぶりは頂点に達しています。
「密約」がバレバレになっても
トランプ氏の信条は「ディール(取引)に勝つことが人生無上の喜び」。ディールには「密約」の意味もあります。何を言い出すか予測不能のトランプ氏の言動によって「密約」がバレバレになってしまったのが、4月から5月にかけての首脳会談の一部始終です。
しかし、ウソがばれても開き直り、ウソを重ねるのがアベ流です。安倍首相は首脳会談直後に開かれた自民党役員会で、TPPの枠内だと強弁したうえで、「うまくいっているから安心してほしい」と言い放ちました。「TPP水準が最大限」とした日米共同声明をトランプ氏が全く無視し、これに安倍首相が一言も反論できなかったにもかかわらずです。
これは「うまく国民をだますから安心してほしい」という意味でしょうが、国民をなめるのもいいかげんにしろ!
野党勝利で日米交渉ストップを
5月29日、立憲民主、国民民主、共産、社民、衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」の5野党・会派の党首は、「共通政策」に署名し、参院選1人区30選挙区で候補を一本化することで合意しました。また、5野党は「密約」の真相解明のために予算委員会を開くことを要求し、30日には「合同ヒアリング」を開いて政府を厳しく追及しています。
TPP11、日欧EPA(経済連携協定)の発効によって4月の牛肉・豚肉、ブドウの輸入は史上最高水準に達しています。「TPP・日欧EPA水準が最大限だから安心してほしい」という安倍首相のウソは「振り込め詐欺」ならぬ「TPP並み詐欺」です。
この上、日米貿易交渉が進んだら、日本が「無農・亡食」の国になることは必至です(詳しくは、農民連が緊急発行した『日米FTAパンフ』をご覧ください)。
国民をだまし続け、選挙後に一気に、トランプ政権に大幅譲歩することを狙う安倍「亡国」政治は許されません。市民と野党の共闘の勝利で、日米交渉をストップさせようではありませんか。
(新聞「農民」2019.6.10付)
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