「国連家族農業の10年」記念全国クロマグロ漁師サミット青森・大間
「国連家族農業の10年」のスタートを記念して全国で「食と漁の地域未来フォーラム」開催を決めたJCFU全国沿岸漁民連絡協議会(以下、JCFU)は、長崎県対馬市、香川県丸亀市での開催につづき4月27日に、3回目となるフォーラム「全国クロマグロ漁師サミット」を、青森県大間町で開催しました。
全国沿岸漁民連会員が1万人突破地元の勇壮な「津軽海峡海鳴り太鼓」で幕開けしたサミットでは、北海道焼尻島から参加した高松幸彦JCFU共同代表が「JCFUは今年の夏で結成4年を迎えるが、大間サミット開催を前に、会員が全国で1万人を超えた。この背景には大規模漁業を優遇し小規模家族漁業をないがしろにする政府の水産政策がある」とあいさつ。
続いて地元のマグロ漁師、大間漁協まぐろはえなわ部会の泉徳隆顧問があいさつし、「私たちは沿岸漁民を苦しめる国のマグロ漁業政策に再三、抗議をしてきた。安定した漁業を次世代に残すためにサミットで活発な意見交換をしてほしい」と呼びかけました。 金澤満春大間町長、坂三男大間漁協組合長、笹渡義夫農民連会長、生田喜代子日本の伝統食を考える会世話人が来賓あいさつしました。 JCFUの二平章事務局長が開催趣旨を説明。「沿岸家族漁業は経営体の94パーセントを占める国内漁業の主人公。家族漁業が全国浦々で活躍することで国境を監視し、海岸環境と資源を守り、消費者へおいしい魚介類を届けてきた」と述べ、ノルウェーのマダラ漁での漁獲枠が大型船よりも小型船に手厚い事例を紹介。「日本のマグロ漁獲枠設定はこれとは真逆で、家族漁業が苦しんでいる。このサミットを機に日本のマグロ漁業政策を家族漁業重視に転換させたい。そのためにも『国連家族農業の10年』を今後の運動の柱としたい」と話しました。
FAO駐日事務所
基調講演では、国連食糧農業機関(FAO)駐日事務所のボリコ・M・チャールス所長が、水産団体の集会に初めて登壇。(写真)「家族農業には漁業も含む。小規模な家族農業・漁業は食糧問題だけでなく、社会経済、環境、文化面でも重要な役割を果たしており、各国ともその重要性を認識し、支援策の策定・実行を推進すべきだ」と話しました。 |
会場をわかせた「津軽海峡マグロ女子会のみなさん」 |
最後に、大間漁協の若手漁民でもある渡邊良彦さんが、「沿岸クロマグロ漁と家族漁業の未来に向けて」とする大間アピールを紹介。参加者全員の拍手で採択しました。
◎沿岸漁業への扱いが不平等。
◎対馬漁業を守るため漁民の要望5項目にとりまとめ、5325人の署名とともに長崎県議会に提出した。
◎対馬近海では、まき網がイカ釣り船の灯火で魚を集め漁獲する違法操業をしている。国も県も取り締まらず、野放しだ。ルールを守らせるべきだ。
◎千葉では漁獲配分枠が少なく困っている。マグロ漁ができず船を壊し、廃業した漁民もいる。
◎定置網に入ったマグロを水揚げできず、放流するが、大半は死んでいる。国は資源のために漁獲規制をしていると言うが、資源も漁民も苦しめている。
◎北海道のつり・はえなわ漁民に対して30キロ以下の小型魚の漁獲配分枠はゼロだった。はえなわ漁にかかる魚は大半が小型魚で、放流した。これでは漁民が生きていけない。放流した魚も生きてはいないだろう。
◎配分漁獲枠は過去の実績で行われるので、若者が新規参入できず困っている。制度を見直してほしい。
◎クロマグロはまちづくり、地域活性化にとって大切。漁獲規制のため、昨年はマグロ祭りが中止となった。沿岸マグロの規制で地方創生ができないのでは困る。
[2019年5月]
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