「農民」記事データベース20190527-1361-02

現状の廃炉方法では
先行きが全く見えない


原発をなくす全国連絡会が学習会

「廃炉・使用済核燃料」テーマに

 原発をなくす全国連絡会は5月13日、東京都内で連続学習会の第16弾を、日本科学者会議原子力問題研究委員会委員長の岩井孝さんを招いて行いました。

 かつては原子力研究開発機構(原研)に勤務し、労組の執行委員長を務めていた岩井さんは「原発の廃炉・使用済核燃料の課題について」と題して講演し、核燃料サイクルなど、日本の原子力行政のあり方を厳しく批判しました。

 「新規制基準のもとで20基以上の原発廃炉が決まっている」「日本原子力発電(原電)が廃炉専業会社となることを検討している」ことを紹介し、「これからは廃炉の時代。解体するときにでる大量の放射性廃棄物と使用済み燃料の処理が大きな問題になる」と指摘しました。

 廃炉までには10年間は炉が冷えるのを待つ必要があること、プルサーマル使用済み燃料は冷却時間が長くなること、廃炉時の廃棄物は全て「低」レベル放射性廃棄物扱いとなることなどを紹介。

 廃棄物は放射線量が高い順にL1、L2、L3と区別され、この処分場は「10万年は漏れない」ことが要求されています。しかし実際にはL1とL2は300年、L3は50年間、処理事業者が管理するが、それ以降は放置という方針が示されています。「国は、規制はするが管理はしないという無責任な方針で、処理事業者が300年も存続しているかも疑問」と指摘します。

 実際に廃炉が進んでいる原電の東海原発は2020年終了予定を25年まで延期しました。「L3を敷地内に埋設することは決めたが反対運動が起きていることと、L1とL2の廃棄物の処分場が決まらず置き場所がなくなってきているため延期されている。さらに延期される可能性が強い」と岩井さんは解説。「現状の廃炉のやり方では先行きが全く見えなくなる」と懸念を語りました。

 核燃料サイクルについても「高速増殖炉はなくなり、使用済み燃料の処理が危険なうえ費用もかかるプルサーマルは百害あって一利なしで破たんしている」と批判。

 新規制基準で求められているテロ対策についても「ヨーロッパでは原子炉の格納容器を二重にすることを求めているが、日本は離れたところに非常用の対策室を作るだけ。しかも再稼働後5年は完成までの猶予を設けること自体、役に立たないと認めているに等しく、『世界で一番厳しい安全基準』は大ウソ」と断罪しました。

(新聞「農民」2019.5.27付)
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2019年5月

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