旬の味
1月1日、98歳の誕生日を施設で迎えた母が数日後、誤嚥(えん)性肺炎で入院しました。意識がなくなり、肩で息をする母の姿に、私は耳元で「お母さん、98年間よくがんばってこられましたね、お疲れさま。もうそんなにがんばらなくてもいいよ」と言ったのです▼数分後、スーっと母の息が止まったのです。「処置をしますので、出てください」との看護師さんの言葉の後に、また母の息が戻ったのです。様子を見に来てくださる看護師さんが何度も「何か気になることがあって逝けないのでしょうか」と▼家を片付けたいからと帰っていた妹のことが頭をよぎりました。きっと母は妹を待っているのではと直感したのです。弟亡き後、母のすべてを受け入れ、ともに生活してくれていた妹です。一言、お礼が言いたかったのではと思いました▼駆けつけた妹の「お母さん」との声を聞いて安心したのか母は安らかに父や息子の元へ旅立ったのです。礼を尽くすこと。母の生き様からそんなことを学んだ思いでした。 (志)
(新聞「農民」2019.4.15付)
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[2019年4月]
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