日米FTA交渉には応じるな
TPP11、日欧EPAから離脱せよ
農民連・食健連が農水省と交渉
農民連と全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は3月28日、農水省に対して、TPP(環太平洋連携協定)11、日欧EPA(経済連携協定)、日米FTA(自由貿易協定)に関する要請を行いました。
冒頭、農民連の笹渡義夫会長が「昨年12月にTPP11、今年2月に日欧EPAが発効し、日米FTA協議が始まろうとしている。農畜産物の輸入がどこまで増えるのか、農村では懸念が広がっている。一方で、国連では『家族農業の10年』『農民の権利宣言』が採択されている。日本の農政と国際的な流れとの整合性はどうなのか。農村の実態に耳を傾けよ」とあいさつしました。
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冒頭、あいさつする笹渡会長 |
参加者は、セーフガード(緊急輸入制限)について、茂木敏充TPP担当大臣が、「アメリカがTPPに復帰しないことが確定すれば、TPP11で譲歩した内容を見直すことができる条項(6条)があるから大丈夫」だと農家に説明してきたことを指摘。「アメリカの復帰はもはやありえない。直ちに6条に基づき基準枠の見直しをせよ」と要求しました。
農水省は、「TPP11発効とレート(関税税率)の低下が重なったことと食肉需要の増大で、1月の牛肉の輸入量は前年同月比で156%だった。輸入量は落ち着いている」と強弁。さらに、「アメリカがTPPに復帰しないと断定しているわけではない」として、6条に基づくセーフガード発動を拒否する姿勢に終始しました。
TPP以上の譲歩迫られる
参加者からは「仔牛が高くて買えず、肥育農家の所得が落ちている。輸入に歯止めをかけよ」(宮城)、「後継者に経営を任せたいが、輸入の状況をみながら営農を続けるのか考えなければならない。酪農がだめになったら他の産業にも影響がでる」(北海道)などの意見が出され、「TPP11、日欧EPAから離脱せよ」と迫りました。
日米FTAについても、「物品貿易協定」(TAG)だと言い張る農水省に対し、「アメリカ側は一貫してFTAだと言っている。TPPでは不十分としたトランプ米政権がTPPの水準で満足するはずはなく、TPP以上の譲歩を迫ってくるのは明らかだ。これまでの日米交渉でも日本は、一度たりともアメリカの要求を押し返したことはない」と批判。協議が情報開示もなく進められようとしていることを糾弾し、「このままでは農家が不安に思うのは当然だ。日米FTA協議には応じるな」と訴えました。
(新聞「農民」2019.4.8付)
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