農家が得する
税金コーナー
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申告期限後の対応
期限後申告は早めに
確定申告が法定期限内(3月15日まで)に間に合わなかったり忘れたりした場合、なるべく早く申告しましょう。この場合、「期限後申告」として扱われます。納めるべき国税があるのに申告せず、期限内に納税しないと、延滞税だけでなくペナルティーとして無申告加算税がかかる場合があります。
源泉徴収されている給与所得者で給与所得以外の所得が20万円以下の人や、公的年金等の収入が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下の人は、確定申告の必要はありません。
無収入でも申告
しかし、無収入であっても、少なくとも住民税の申告はしないと大損することがあります。源泉徴収されていない人が住民税の申告もしなかった場合、自治体では「所得不明」として扱われるため、所得証明書が発行されず、低所得者としての優遇措置が適用されない場合があります。
たとえば、住民税が非課税になるかどうかの所得判定の対象外にされてしまいます。国民健康保険税(料)でも、世帯の中に「所得不明」の人がいた場合、7割・5割・2割軽減の所得判定の対象にはなりません。軽減判定は4月1日現在で行い、途中で見直しはしないという自治体もあります。
還付請求は3月15日の後でも
申告義務のない人の還付申告は1月1日から5年間、問題なくできます。
今年も次のような例がありました。
息子は会社で年末調整だけで確定申告していません。しかし、源泉徴収票を見ると親夫婦を扶養にしていません。親夫婦は農業所得の赤字で所得税はかかりません。聞くと、去年7月に子どもの国民年金掛金の免除申請で市役所に行き、その時「お年寄りも扶養にしましょう」といわれ市民税の申告をしましたが、税務署には確定申告をしていませんでした。
税務署に申告すると自治体に通知されますが、その逆はありません。税務署に還付申告をすることが大事です。
税額を減らす「更正の請求」を
また、「別居しているので扶養親族に取れない。医療費控除も別々」と誤解している人がまだまだいます。
扶養控除の要件は、別居か同居かではなく、生計を一にするかどうかです(その他の要件は『税金対策の手引き』37ページ)。扶養親族の変更、家族の医療費や社会保険料の計上漏れなどで税額が少なくなる場合は「更正の請求書」を提出して正しい額へ訂正を求めます。
申告期限から5年以内に請求できます。「更正の請求書」の様式は『手引き』88ページにあります。
(新聞「農民」2019.4.1付)
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