発見
農の現場から
北海道農民連委員長 山川秀正
異常気象なのか?
地球温暖化か?
私の住む北海道の十勝管内音更(おとふけ)町の積雪量がゼロになった。少し大げさに表現すれば、平年より1カ月も天候がずれている。
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積雪が極端に少なかった北海道の大地=2月27日、音更町 |
この冬は、確かに降雪が少なかった。正月も風あたりのいいところは、雪が飛ばされて黒い地面が見えていた所もあった。年明け以降も何回か雪は降った。しかし、3月1日には秋蒔(ま)きの小麦やナタネがすっかり顔を出していた。メリットがないわけでもない。除雪は楽だったし、適期に農作業を行うために融雪剤を散布する必要もない。経費が浮いた。
降雪量少なく早い雪解け
でも、こんなに早く雪解けが進むと様々な心配事が浮かんでくる。積雪がないと冷気が直接に土に触れることになり、土壌凍結が深くなるのだが、耕作面積の3割6000ヘクタール以上も作付けされている小麦は、しばれあがって根が寸断されていないか? 気温の低い時期に露出して低温の被害は発生しないか? 小麦より越冬に弱いナタネは大丈夫?
私の町ではしていないが、隣町、帯広市や芽室町では、春掘りの長芋やゴボウがしばれて商品価値が落ちていないだろうか? そして、1月下旬から2月上旬にかけて連日の低温による土壌凍結の深さは? 融雪水が極端に少ないことによる春作業の遅れは? 少ない降雪量による夏の水不足は? 1年間の降水量は大きな変動がないので夏に雨が多いのでは? などなどあげだしたらきりがない。
TPP(環太平洋連携協定)やEPA(経済連携協定)など安倍官邸農政とたたかい、こんな心配もしながら今年も農作業が始まろうとしている。
(新聞「農民」2019.3.18付)
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