「農民」記事データベース20190311-1351-03

豚コレラ対策

まん延防止・農家支援万全に

農民連・畜全協 ふるさとネット
農水省に緊急要請


農民連
早くワクチン使用を

 農民連と畜全協(畜産農民全国協議会)、ふるさとネットワークは2月22日、岐阜や愛知など1府4県で感染が拡大している家畜伝染病「豚コレラ」の対策を求める緊急要請を行いました。要請には、静岡県の養豚農家で畜全協会長の森島倫生さんをはじめ、神奈川県、群馬県、千葉県の養豚農家、発生地となっている愛知県田原市の前市議など9人が参加しました。

 飼養管理では防ぎきれない

 3団体は要請で、豚コレラワクチンの使用を一律に不可とする方針を改めること、衛生対策に万全を期すとともに養豚農家の衛生対策費を助成すること、発生農家の経営の維持・再建への特別措置などを求めました。

 農水省は、「感染拡大の防止策の基本は、養豚農家での飼養衛生管理基準の順守徹底だ」「ワクチンを接種すると新たな感染を発見しにくくなる」として、現段階でのワクチン使用には慎重な姿勢を崩しませんでした。一方で、今後もっと感染が広がった場合のワクチン使用の可能性は否定せず、また岐阜県、愛知県では野生のイノシシへの経口ワクチン投与(ワクチンを含んだエサをまく)の実施を急ぐことを説明。

 参加者からは、「現場では多くの養豚農家から“一刻も早くワクチンを打たせてくれ”という声が高まっている。国は飼養衛生管理が基本と言うが、それで止められるのか。養豚農家は家の周りのカラスの足にもウイルスが付いているのではと戦々恐々としている」「飼養衛生管理のお手本とされているような養豚場でも感染している。衛生管理では防ぎきれない」と、切々とした訴えが続きました。

 また、「ワクチンを使用するとOIE(国際獣疫事務局)の基準で清浄国でなくなってしまい、安倍政権肝いりの輸出政策に悪影響が出るとの忖度(そんたく)からワクチンを使用しないのではないか」との疑念の声も上がりましたが、農水省は「そうではない」と否定しました。

農水省
再発は国の責任

 また農水省に対し、感染ルートが未解明であることや、一度は撲滅したはずの日本で、海外からの感染が明確な型の豚コレラを再発させた国の責任を問われ、農水省も「水際(国境での防疫措置)で防ぎきれなかった国に責任がある」と認めました。

 補償や再建への支援を万全に

 また参加者からは発生農家への補償や経営維持・再建への万全の支援を求める声も相次ぎました。感染拡大により養豚団地で1万5000頭近くが殺処分された田原市の前市議会議員の河辺正男さんは、発生農家の中には畜産クラスターの補助制度を利用して規模拡大真っ最中の若い養豚農家がいることも紹介。「畜産団地で出たたい肥が野菜栽培も支えており、畜産農家の衰退は地域の生産体系も壊してしまう」と、実情を話しました。

 農水省は、殺処分は全額補償となることを強調しましたが、参加者は「補償基準が時価となっており評価額が低すぎる。これでは実際には再出発は非常に困難。たとえ豚コレラが発生しても、農家負担がないよう、再建まで国が責任をもってほしい」と重ねて要望しました。

 要請には、日本共産党の田村貴昭、本村伸子両衆院議員、紙智子参院議員が同席しました。

(新聞「農民」2019.3.11付)
ライン

2019年3月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2019, 農民運動全国連合会