「農民」記事データベース20190311-1351-02

福島県農民連
農地土壌を毎年測定

農民・農地への救済策求めて
勝つまで闘う


 事故後の農地は天地返し(※プラウなどで放射線量の高い表層土を地中にすきこむこと)や、ゼオライト、カリウムの散布により「除染」をされたことになっています。しかしこれでは放射性物質は取り除かれておらず、耕耘(こううん)して「薄めた」だけです。

 農地の汚染と被ばくを知らず

 実際にほ場で栽培される作物はセシウム吸収抑制対策の効果があるため、現在は農産物からの放射性物質の検出は、基準値以下、検出限界以下がほとんどになっています。しかし、自分の農地がどれほど汚染され、被ばくするかを知る福島県の農家はほとんどいないのが実態です。

 福島県農民連は農地の表面汚染を把握するために測定器を購入し、会員の農地約2000カ所を毎年測定しています。その結果は、水田、畑、果樹園で違いがあるものの、表面汚染で1平方メートルあたり4万ベクレルという、放射線管理区域の基準を超える農地が多数あることが分かっています。経年で減衰しているものの、私たち農家は今なお農作業中に無用な被ばくを強いられているのです。

 福島県農民連は、政府交渉で5年間、県内全ての農地汚染マップ作成、農家の被ばく対策や健康調査、条件不利地域で働かざるをえない農民への救済策を求め続けてきました。

 農家は対象外のガイドライン

 ところが厚労省は「放射線管理区域は労働者が対象なので、個人事業主の農家は対象外。除染労働者向けの被ばく軽減のガイドラインがあるのでご自身で管理を」と回答。農水省は「農地汚染は航空モニタリング(飛行機からの線量測定)し土壌条件から推計できるので、全ての農地の実地測定はしない」と回答しています。しかし、農水省の測定は作物への吸収抑制に使う目的のもので、農家の被ばくを考慮したものになっていません。

 汚染に補償なく被ばくを受忍し

 日本には農家を被ばくから守る法的措置(法律)がありません。農家は農地汚染にも何ら補償されず、無用な被ばくを受忍させられています。福島県農民連は今後も土壌分析は毎年行っていく予定です。現場の農民が実測値を持つことはたたかいの礎になります。私たちは沖縄のたたかいから、諦めないで勝つまで闘うことを学びました。国と東電に責任を認めさせ、救済策を勝ち取り、全国から全ての原発をなくすまで闘うことが次の世代への責任だと考えています。

(新聞「農民」2019.3.11付)
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2019年3月

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