「農民」記事データベース20190225-1349-09

青年部第27回総会

家族農業と持続性を考える

関連/参加者の感想

 青年部は27回目の総会を埼玉県伊奈町で開催し、約40人が参加しました。今年は国連の家族農業の10年がスタートするということもあり、家族農業の価値を再度考えるきっかけにしてほしいとの狙いで、「楽農家―楽しい農業を家族で」をテーマにしました。


先輩たちが作り上げた
世界的な流れを
いかに広げられるか

 埼玉県東松山市の肥育牛農家の國分唯史(ただし)さん(42)と岩手県九戸村の酪農家、小井田寛周(ひろのり)さん(32)の二人を招き、それぞれの経営を紹介。そこからグループに分かれて、持続可能な農業とは何かを考えました。

 ホルスタインのオス牛中心に約140頭を肥育している國分さん。「主に生協の店舗に出荷をしています。安全安心でお手頃ということもあり、ホルスタインを選択しました」と話します。「再生産可能な価格は消費者に理解してもらって初めて可能になります。だからこそ、農業体験など消費者との交流にも力を入れています」と紹介しました。

 小井田さんは山間地で行っている「立体農業」を紹介。クルミの木の下で牛を育て、ふんは肥料に戻す循環型農業を営んでいます。「昼夜放牧に切り替えたことで、牛のトラブルも減ったし人間も楽になりました」と話す小井田さん。「規模拡大をしても負担が大きくなるだけなので、生産物をいかに販売していくかが継続していく鍵だと思います」

 質疑では、ニワトリの獣害の対策などさまざまな質問が出されました。また、畜産に対する素朴な疑問にも丁寧に答えていただきました。

画像
笑顔で「ビバ!農民連!」

 青年の声を上げ続けるのが大切

 2日目は総会の議事が行われました。平間徹也部長から、「先輩たちが作り上げた世界的な流れをいかに広げられるかで、自分の子や孫、その下の世代の未来が開けるではないか」と提起。5月に日本で開かれる国際農民組織ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域会議で、青年会議の今後の再開を提案することや、ニカラグアとの定期交流を進める、農水省交渉に継続して取り組むなどの方針を提案しました。

 討論では、各地の活動報告のほか、京都の植田修さんが自治体に新規就農者の研修受け入れの改善を求め続けて実現させた経験から「小さくても声を上げ続けることが大切」と発言。宮城の山城恵介さんは「分野が違うと農家でも知らないことが多い。まして消費者は農業のことは知らない。ユーチューブで発信し、農業を知る入り口を作っていきたい」と話しました。

画像
グループに分かれて持続可能な農業のあり方を考えました

 また、子どもにおいしい食べ物を食べさせたいと帰郷して就農を決意した愛媛の堀内学さんから、次世代人材投資事業の今年度の変更点について「ぜひ農水省と交渉してほしい」という要望も出されました。埼玉の関根耕太郎さんはビア・カンペシーナの会議に参加した経験から「もっと日本のことを知らないといけない」と訴え。あわせて「農家以外との交流も積極的にやろう」と提案もされるなど、活発な討論が行われました。

 農民連の強みを自信に声かけて

 平間部長は討論のまとめで、「農民連は消費者・国(行政)・世界にアクセスできるという強みがあります。それを自信にまわりの青年に声をかけよう」と呼びかけました。最後に新役員案を含む決議案を全員一致で承認しました。

 また総会には農民連本部の吉川利明事務局長と日本共産党の梅村さえこ前衆院議員、日本民主青年同盟の中山歩美副委員長、全労連青年部の森彩香さんが参加し、あいさつしました。

 主な新役員は次の通りです。

 部長=平間徹也(再、宮城)、副部長=小林秋貴子(新、千葉)、山村聡(再、群馬)、事務局長=渡辺信嗣(再、本部)

画像
國分さんの話に聞き入る参加者


参加者の感想

 菊地俊幸さん(福島)

 福祉関係に従事していますが、福祉も農業と同じように安倍政権により縮小への道をたどっています。この流れに憤りが収まりません。農民連は地域の交流の場やつながりを大切にしていると感じました。

 福祉から見ると地域のつながりは独自にできるセーフティーネットの一環だと思っています。地域のつながりが強ければ虐待なども減っていくはずです。そうした意味で、農民連の取り組みがもっと広がっていけばと思います。

 福祉から見ると農業の力は偉大です。障害者の就労や高齢者の健康維持、子どもの学習にもつながります。福祉と農業の連携の形を勉強し、共に発展させていけたらと思います。

 堀内学さん(愛媛)

 初めて参加させていただきましたが、大変有意義な時間でした。若い生産者のみなさんと交流が持て、パワーを分けていただきました。

 私の状況に対しても、親身になって話をきいていただき、アドバイスもいただけました。

(新聞「農民」2019.2.25付)
ライン

2019年2月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2019, 農民運動全国連合会