「農民」記事データベース20190225-1349-01

女性部第30回総会

女性の輪を広げ、憲法を守り、
「家族農業の10年」を成功させよう!

関連/レセプション 100種以上のごちそう大集合
  /分析センター見学


多様な生き方尊重し合える社会へ
「私」の言葉で語り合い農業守ろう

 農民連女性部が2月6、7の両日、東京・板橋区立文化会館で総会を開催し、全国から120人(男性含む)がつどいました。第30回の節目となる今回の総会スローガンは、「農業女性の輪を広げ、憲法を守り、家族農業の10年を成功させよう!――持続可能な社会をめざして」。女性たちの熱く、率直な討論は、「こんなにも多くの女性農業者が全国でがんばっているんだ!」「参加して良かった。前向きなエネルギーをもらえた」と、女性たちの大きな力になりました。

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笑顔があふれた女性部総会

 持続可能な社会へ

 農民連の笹渡義夫会長、日本婦人団体連合会の柴田真佐子会長、日本共産党の紙智子参院議員の来賓あいさつにつづいて、女性部事務局長の藤原麻子さんが議案を報告しました。

 藤原さんは、国内農業の衰退が深刻化するなか、安倍政権はTPP(環太平洋連携協定)11、日欧EPA(経済連携協定)、日米FTA(自由貿易協定)など史上最悪の総自由化体制をさらに推進しようとしていると指摘。その一方、世界では今年から国連の「家族農業の10年」が始まるなど小規模・家族農業の再評価が進んでいることを強調し、「世界の流れに逆行する安倍官邸農政を、食糧主権と家族経営を基本にした農政に転換させていこう」と提案。「私は結成以来ずっと“一人ぼっちの農村女性をなくそう”と活動してきた。自分の言葉で語り合い、家族農業を守っていこう」と呼びかけました。

 記念講演には、岡山大学教授の小松泰信さんが登場。男女共同参画社会づくりに携わってきた経験など、ユーモアあふれる話に、会場は爆笑に次ぐ爆笑の嵐に。小松さんは、「農業は食料供給だけでなく、環境保全やコミュニティー維持などの多面的機能の役割も担っている」と述べ、「持続可能な社会づくりには、営農と生活が農村地域のなかで密着している家族農業は大きく貢献できる」と話しました。

 国際活動も活発に

 討論では、沖津由子部長、佐々木賀代子副部長、久保田みき子さんが国際活動について特別報告を行い、昨年から農民連女性部が国際農民組織ビア・カンペシーナの東南アジア地域での代表になっていることや女性会議での議論の様子、ジェンダー平等の取り組み、昨年末に国連で採択された「農民の権利宣言」の意義などを報告しました。

 また大阪府の大坊幸さんは、昨年の西日本豪雨と台風被害の救援・復興に向けた農民連の取り組みを報告しました。

 各地からの発言では、家族農業と農村女性の原状をめぐって、女性ならではの視点から考える発言が相次ぎました。秋田県の佐々木冷子さんは、一緒に農作業しているお嫁さんの口座を開設し、直売の収入を分け合うようにしたと話し、宮城県の菅原栄子さんも息子さんが一昨年就農し、大家族で協力し合いながら楽しく農業している様子を紹介。「おいしいものが食べられ、豊かな自然とともに生きられる農家こそ本当のセレブ。生活を楽しむことを大切にしながら家族農業を守っていきたい」と発言しました。

 また新潟県の佐藤裕子さんは、家族の死別や介護など自らの生活の変化に触れ、「いちばん大切なのは、3食きちんと食べられること。農地があって食べ物を自分で作れることがいかに幸せか。家族農業は本当に大事」と語りました。

 女性の声大きく

 岐阜県の可児すみ子さんは、女性農業委員として料理教室など地域の農村女性が集まる場所づくりをしている活動を報告。「農協などでも会議は男性ばかりで女性は一人ぼっちで畑作業が多い。でも集まれば要求が次々と出る」と実感を込めて話しました。

 愛知県の本多操さんは、ネオニコチノイド系農薬の影響で減少しているミツバチを増やすため、蜜源になる植物を増やそうという「蜜源プロジェクト」の一環として、作りきれない畑や道路脇の小さな空き地などに白クローバーを植えていることを紹介。「耕作放棄地対策にも、緑肥にもなる。全国で蜜源プロジェクトに取り組み、ネオニコ問題を考える糸口にしていこう」と呼びかけました。


レセプション
100種以上のごちそう大集合

 1日目夜には恒例のレセプションが開かれ、参加者が持ち寄った料理や漬け物、農産物がテーブル狭しと並びました。その数、100種類以上。

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色とりどりの料理は“壮観”のひとこと

 キンカンの蜜煮(山口)、豆腐のもろみ漬け(熊本)、かつおのタタキ(高知)、梅のほっこり煮(茨城)、イノブタチャーシュー(千葉)、唐芋の煮物(神奈川)、あられ(岐阜)、黒豆の煮物(兵庫)、しょうゆこうじ漬け(大阪)、柿の葉ずし(奈良)、いぶりがっこ(秋田)、赤カブ漬け(青森)、しそ巻き(宮城)、わらびの煮物(岩手)、手づくりチーズ、イカ人参(福島)など、その土地ならではの味覚が並びました。

 マジックショーやしばてん踊りなどの出し物で盛り上がりも最高潮に。最後にはアイドルグループ・AKB48の「365日の紙飛行機」に合わせて全員で踊りました。


分析センター見学

 総会の前後にオプションプログラムとして、農民連食品分析センターを見学しました。

 八田純人所長が分析センターの役割や研究成果などを、ユーモアを交えてわかりやすく紹介。「この分析センターがなければ、日本の食品安全行政は10年は遅れていたと断言できます」と自負する八田所長の言葉に、「分析センターは農民連の宝だね」と女性たちも納得。更なる活用に向けて、質問攻めにしていました。

(新聞「農民」2019.2.25付)
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2019年2月

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