発見
農の現場から
広島県農民連会長
木戸菊雄
ヒョウモンモドキ等
希少種保護活動に取り組む
広島・世羅台地真砂土域
春までに済ませるべき希少動植物保護活動がある。絶滅危惧IA類の「ヒョウモンモドキ(蝶)」が産卵し、幼虫期のエサのキセルアザミと、羽化時に花を咲かせて蜜源となるノアザミの保全と生育促進のための草刈り!! 保護の会会員のキセルアザミへの産卵個所に設置したマーキングポール周辺の直径1・5メートルを刈り残す。
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ヒョウモンモドキ(せら夢公園提供) |
広島県の世羅台地は花崗岩の風化した真砂土域で、分水嶺域なので、山林の腐葉土をこした栄養のある湧水は少ない。しかし、そんな場所に希少種は育つ。
そして、日本最大級の果樹農場が育つなど世羅で果樹栽培が盛んなのは、真砂土の水はけのよさにもよる。川が少ないため、貧栄養湿地やため池の多い環境は、ハッチョウトンボ等のすみかとなっている。自然環境を利用し、同時に守ってきたのだ。
次世代に渡す環境と農業
戦後2回目の農政転換の農業基本法成立時に、農業組合法人経営が始まった。リゾート開発や残土処分場として荒らされなかったのは、一人では無理でも仲間と自然環境を生かし、自分達の営農と同時に環境を守る精神が根づいてきたからだろう。
地域には集落法人も多く、法人同士の連携も進み出した。そういう隣り合う集落法人と私はヒョウモンモドキ等の希少種の保護活動に取り組んでいる。
国連「家族農業の10年」の始まりは、生まれ育った地を次世代に渡そうと地域の仲間・自然との「協働」の取り組みをさらに進めるものである。
(新聞「農民」2019.2.11付)
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