「農民」記事データベース20190121-1344-07

「百姓百品」は地域の宝

愛媛県西予市 百姓百品グループ

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西日本豪雨被害から半年
みんなの力で元気に再出発!

 「お昼休みだよー」「さあ、ご飯にしようかー」――昨年7月の西日本豪雨被害から半年。直売所や事務所などが浸水し、甚大な被害を受けた愛媛県西予市野村町の「百姓百品(ひゃくしょうひゃっぴん)」のネギの皮むき作業所には今、明るい笑い声があふれています。

 農民連に団体加盟している「百姓百品」グループは、生産者約500人を組織し、100人余を雇用する産直組織。直売所を運営するほか、松山市内の生協など4つの店舗に出荷しています。長ネギを主にした生産法人「百姓百品村」と、障がい者施設の「野村福祉園」の3つで一体になって農福連携での障がい者の経済的自立、地域の耕作放棄地対策などに大きな力を発揮しています。

 西日本豪雨では、近くの肘川が上流の野村ダムの放水ではんらんし、事務所や直売所、集出荷用の2トントラックなど車両3台が水没したほか、1ヘクタールのネギ畑が全滅。総額でおよそ3500万円にものぼる被害となりました。

 自宅や家族が浸水被害にあった職員もいましたが、うだるような猛暑のなか職員、従業員が一致団結して復旧作業にあたり、1週間後には生協への出荷を再開。浸水を免れたネギむきの作業所や直売所も7月中に再開し、現在は完全とは言えないまでも、以前の日常を取り戻しています。

 「出荷を待ってる生産者も、野菜を食べたいお客さんも、働く場が必要な利用者さんも、本当にたくさんの人が待っとるけん、復旧はもうみんなの執念やね。それに生協をはじめ本当に多くの人が助けてくれた」と言うのは、グループ代表の和氣數男さんです。

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ネギの皮むき作業中。みんな真剣

 集荷トラックは地域農業の命綱

 生産者の平均年齢は73〜74歳。町内5カ所で野菜を集荷し、生協の店舗に届ける百姓百品のトラックは地域農業の「命綱」です。

「百姓百品があるけん、農業が続けられるという高齢者ばかり。最近は若い生産者もぼちぼち増えてきて、“百姓百品は地域に絶対必要”という、長い間に積み上げてきた絆が、復旧の力になったということやと思う」

 しかし完全な復旧には道半ば。保険で補償しきれない1000万円ほどは融資を受けることになり、10年かけて返済していかなければなりません。和氣さんは被災後、何回も上京し、農民連の災害支援の拡充を求める要請に参加してきました。

 「百姓百品はまちがいなく地域の家族農業を守っている。世界でも家族農業や小規模農業が見直されているんやから、国はこういう小さな農業を災害から復興させるための支援をもっと強めてほしい」――和氣さんのこの願いは、野村町の農家と住民みんなの切実な願いでもあります。


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愛知・津島市 桜井久美子

(新聞「農民」2019.1.21付)
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2019年1月

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