「農民」記事データベース20190107-1342-04

加害者が勝手に決めるな

東電は賠償責任を果たせ


福島県農民連が政府・東電要請

 東京電力の福島第一原発事故から7年以上が経過しました。いまだに多くの方が避難し、農業経営も元通りになっていない中で、東電は来年度から農林業の被害賠償方法を一方的に変更し、被害をわい小化しようとしています。

 福島県農民連は12月14日、「安倍政権と東京電力の福島切り捨てを許さない! 政府・東電への要請行動」を東京都内で行いました。

 首相官邸前の抗議行動では、福島県連の根本敬会長が原子力賠償法の改定で「電力会社が負担する賠償額を1200億円に据え置いているが、福島事故の実際の賠償額はすでに8兆円を超え、除染・廃炉費用を加えれば21兆円に上る。賠償の残りは国の税金と電気料金の値上げで賄うというのは、電力会社の救済に他ならない。電力会社は製造者責任を果たせ」と訴えました。

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首相官邸に向け抗議しました

 原発をなくす全国連絡会からは木下興さんが連帯あいさつしました。

 安達地方農民連の安斉久一郎さんは「原発事故によって、子どもたちがいなくなって過疎が進み、人よりもイノシシの方が多くなっている。私たちは、原発事故前の福島に戻してほしいだけだ」と訴えました。

 続けて参加者は議員会館に会場を移して、東電と各省庁との交渉に臨みました。最大の争点は、東電が来年度から被害額の計算方法を品目ごとの損益通算に変更しようとしていることです。

 「『ブドウが原発事故前の価格に戻った。良かったね。戻っていない桃は賠償するからがんばりましょうね』というのが被害を最後まで救済するということではないか。なんで農家ががんばってブドウが戻った分で桃の賠償を穴埋めしなければならないのか」と県北農民連の服部崇事務局長が猛抗議。

 ほかの参加者からも「最後まで賠償すると言っているが、賠償金を削るために理屈をこねているだけだ」と怒りの声が上がります。

東電の新賠償方針・
事故被害を矮(わい)小化

 東電の担当者は「関係者のみなさまのご意見をうかがって決めた方針なので、ぜひご理解いただきたい」と繰り返すだけでした。

 根本会長は「われわれと東電が合意の上で作ってきた方法を一方的に破棄して、加害者が勝手に賠償条件を決めるのは、われわれを侮蔑している」と抗議。生業訴訟の馬奈木厳太郎弁護士も「被害者が請求のやり方を決めるのが一般的な賠償だ」と指摘したうえで、「農民連は従来通りに請求するので、東電はきちんと受け取りますね」と念を押しても受け取るとは言いませんでした。

 7年を過ぎて、ますます政府・東電の福島切り捨ての姿勢が露わとなる交渉となりました。

(新聞「農民」2019.1.7付)
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2019年1月

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