いまこそ
家族農業が地域を守る!
愛媛県西予市 明浜町農民組合
ミカン山にみなぎる青年パワー!
いよいよ「家族農業の10年」がスタート。小規模・家族農業の再評価が国際的にも広がるなか、農民連は2019年、結成30周年を迎えました。農民連結成の力にもなったのが、1980年代後半の牛肉・オレンジ自由化反対の運動です。「自由化に負けちゃおれん」と、西日本各地のミカン産地で産直運動が始まりました。
そのミカン産地の一つ、愛媛県西予市明浜町ではいま、農民連結成時に産声をあげた30歳前後の青年たちが、両親や祖父母世代が築き上げた産直を経営の基盤に、ミカン農家としてがんばっています。
「農業はストレスがないのがいい」――こう笑顔で話すのは、明浜町農民組合のミカン農家、宇都宮利彦さん、孝子さん夫妻の後継者の渡邊真一さん(28)です。「時間に追われないのもいい。就農して10年たって、自分で植えた苗から収穫も始まって、消費者からおいしいと言われると、やりがいを感じる」と相づちを打つのは、同組合の宇都宮凡平さんの息子の穂高さん(32)。やはり同組合の兵頭岩雄さんの息子の草太さん(33)も、「産直は価格も安定していて、やりがいがある」と言います。
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左から渡邊真一さん、宇都宮穂高さん、兵頭草太さん、愛媛県連の吉田秦臣事務局長 |
真っ青な海を見下ろす急峻(きゅうしゅん)な斜面に、石灰岩を砕いた石積みの段々畑が広がる明浜町のミカン畑。石垣の手入れも必要です。こうしたミカン栽培を支えてきたのが小規模・家族農業でした。しかし収穫作業も栽培管理も斜面を登り降りする重労働で、放棄された園地も増加。宇都宮利彦さんはそんな地域の実情に心を痛め、農民運動や産直に取り組む傍ら、作り続けられなくなった園地を引き受け、今では6町も栽培しています。
若い人が継いでくれ
ほんまにうれしい
「人生をかけて広げてきたミカン園やけん、孫(真一さんの妻の葵さんは孫)ら若い衆が継いでくれたんは、ほんまにうれしいわいな。農民運動も産直もこのためにがんばってきたんやから」
その思いを継ぐ真一さん、葵さん夫妻は今年の春、経営を株式会社化。地元の青年2人を正規雇用し、さらに地域農業を守る力にしたいと奮闘しています。
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宇都宮利彦さん(左)と一緒に働く青年たち(中央の2人) |
西日本豪雨災害でも、宇都宮凡平さんが農民連の農水省要請に参加し、要請内容が実現するなど、災害復興でも農民連は地域の大きな力になっています。
(新聞「農民」2019.1.7付)
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