「農民」記事データベース20181224-1341-04

日欧EPA承認案の参議院本会議での
強行可決に抗議し、
新たなたたかいを呼びかける

2018年12月11日
農民運動全国連合会


 一、12月8日、参議院本会議で日欧EPA(経済連携協定)承認案が強行可決された。自民、公明、維新などが賛成し、立憲、国民、共産、自由、社民などの野党が結束して反対した。

 国民生活と農業に計り知れない打撃をもたらし、経済主権にかかわる日欧EPA承認案を、衆参でわずか9時間で審議を打ち切って採決を強行した自民党、公明党、維新の会などの与党と補完勢力に満身の怒りをこめて抗議する。

 二、日欧EPAは、チーズ、ワイン、林産物など、TPP(環太平洋連携協定)を上回る譲許をしている。いずれも、EU(欧州連合)が得意な分野であり、深刻な打撃が予想される。また、EUの輸出能力が高い豚肉、トマト加工品などもTPPを上回る打撃が予想される。

 しかも重大なのは、TPP11(2018年12月30日発効)と日欧EPA(2019年2月1日発効)という二つの巨大な自由貿易協定がほぼ同時に発効することである。

 TPP11・日欧EPAは、これまでとは異次元の影響を農業と国民生活にもたらすことは必至である。安倍政権が反対世論を無視し、国会でまともな審議も行わず強行したことは、歴史に汚点を残す犯罪的な暴政と言わざるをえない。

 その上、日米FTA(自由貿易協定)交渉が1月中旬から協議に入ろうとしており、かつて経験のしたことのない亡国の農産物市場開放に突入しようとしている。

 2010年に農水省は、全世界を対象に関税ゼロにした場合の影響について、米90%、小麦99%、砂糖100%、牛乳・乳製品56%、牛肉75%と壊滅的に生産が減少し、食料自給率は39%から13%に下落するという衝撃的な試算を発表した。

 安倍政権が突き進んでいる道は、この農水省の試算を現実のものにしかねないものである。

 三、たたかいは新たな段階に入った。われわれは8年間のたたかいで築きあげてきた共同の輪をさらに広げ、政府にTPP11、日欧EPAからの離脱を要求し、日米FTA、RCEP(東アジア地域包括的連携協定)を断固拒否するたたかいに全力をあげる。

 TPPを前提に、大規模化一辺倒の構造改革・企業参入を進め、家族農業を閉め出し、農村を疲弊させてきた安倍官邸農政を転換させるために全力をあげる。

 もはや安倍首相に政権を担う資格はない。疑惑の真相究明を棚上げして日欧EPAを強行した安倍政権は、いよいよ打倒するしかない。そして、TPP11・日欧EPAから離脱する政府をつくるため、来る参議院選挙で市民と野党の共闘を発展させ、自公とその補完勢力を少数派に追い込むために全力をあげるものである。

(新聞「農民」2018.12.24付)
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2018年12月

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