種子法廃止から考える
持続可能な農業へ
東北ブロック交流集会
関連/農村に人と仕事を取り戻す
11月25、26の両日に福島市の穴原温泉・吉川屋で東北農民運動交流集会が開催され約100人が参加しました。
印鑰(いんやく)智哉氏(日本の種子を守る会アドバイザー)が「種子法廃止から考える 持続可能な農業へ」と題し記念講演を行いました。
主要農作物種子法廃止の問題点をあげ、(1)食の決定権が奪われ生産者と消費者が結びつけない、(2)種子は生き物、機械ではない。環境にあった多様な種子が必要。企業はそれができない、(3)解決策は食料主権と昔ながらの農民の知恵や科学(生態系を守る農業・アグロエコロジー)、(4)種子と市場をどう守るか、自由な種がなければ自由な社会は作れない、と前置きしました。
その後、「植物の根のまわりにつく菌根菌糸(きんこんきんし)が病原菌から豊かな土壌を守るが、このままでは60年後に土壌がなくなる」と重大な危機を話しました。
また、「戦争がきっかけとなり、化学企業の拡大につながり、種子、化学肥料、農薬の3点セットを売り込む工業型農業に移行した」と独占が進む種子企業の実態を報告。「世界の流れは変わってきた。危険だから使わないではなくプロセスに時間をかけて使わない方法が研究されている」と述べました。
農民連本部から真嶋良孝副会長が、日欧EPAなど自由貿易協定推進の現段階について報告しました。
参加者から「農民にしかできない大切なことを学んだ」「小麦がこんなにも汚染されているとは知らなかった」「いい話が聞けて来てよかった」と感想が聞かれました。
翌日は飯館村のソーラーシェアリングと地域資源の活用ツアーの2コースで視察が行われました。
中国ブロック研究交流集会
11月25〜26日、鳥取県米子市で農民連中国ブロック研究交流集会が開催され、参加者は100人を超えました。
主催県の鳥取県農民連の今本潔会長が「全国一小さい農民連だが、2年前に再建総会を開き、この交流会を飛躍台に全国に追いつく農民連づくりにがんばりたい」と開会あいさつ。
講演は、持続可能な地域社会総合研究所の藤山浩代表が「農村に人と仕事を取り戻す〜田園回帰の時代〜」と題して講演。豊富なデータを駆使し、「先端の町村では『過疎の終わり』を実現している。成長神話は行き詰まり、大規模化と一極集中ではだめだ。これからは地域社会を診断し各分野の合わせ技で地域外へのダダ洩れ経済から1%の消費と人を取り戻せば地域は持続可能」と力説。特に女性高齢者の営農は日々元気に農業することで医療や介護費用が数百万円節約されると解説しました。
講演を聞いた参加者は「元気が出た」「60年間少子高齢化で過疎と言い続けたが時代は変わる」と感想を述べていました。
農民連ふるさとネットワークの湯川喜朗事務局長は「家族農業の10年と農民連」と題して特別報告しました。
2日目は税金・生産・災害の分科会が開かれ60人が参加。災害の分科会には日本共産党の大平よしのぶ前衆議院議員が助言者として参加し、7月西日本豪雨の被災地の現状や対策について報告しました。この分科会では山口県の世良輝久書記長が県も市も動かなかった中、農民連本部の働きかけで一気に事態が動いたと生々しい報告をしました。
鳥取県農民連は交流会を全会員に呼びかけ、会員数の倍の参加をやりあげ、新聞「農民」読者も4人増えました。今年の秋には初めて準産直でお米を関西に出荷し、1月には自前で税金学習会も開催する計画です。
(島根県農民連 長谷川敏郎)
(新聞「農民」2018.12.24付)
|