「農民」記事データベース20181217-1340-16

ふるさと
よもやま話

栃木県農民連会長
國母克行


有機農業、家族農業に
日本農業の未来感じる

 2018年も12月、農業についても大きな変化を感じています。直接支払い交付金は出なくなり、TPP、FTA、EPAなど安くて危険な輸入食品が入ってくる、主要農作物種子法は廃止になり、天気は異常で大変な被害に遭われた方もいて、農業にとって悪いことばかり目立ちます。

 エゴマを自己搾油
 専ら直売中心に

 愚痴を並べましたが、私は栃木県真岡市で、時々話題となるエゴマや米、麦、大豆、ナタネ、少しの野菜などを作っています。エゴマは自分で搾油して直売を中心にしています。作物はすべて農薬、除草剤を使わず有機肥料のみで作っており、完全に切り替えてから1年になります。

 自宅周辺に川はなく、自然のなだらかな起伏が続く畑でしたが、昭和44年ごろ、減反政策が始まる直前に県の事業として井戸を掘って畑を陸田にしました。

 先代はここで地域の人たちと桃、メロン、ナス、ブロッコリーなど時代に合わせて栽培し、試行錯誤してきました。中学生時代、月明かりの中でメロンの搬出などをした記憶があります。しかし高度経済成長の中で、私を含め同世代はほとんど会社勤めとなりました。

 お客さんにも
 自信持って売る

 父は農民連の仲間と産直組合を作り、野菜を出荷していました。今は私が後を引き継ぎ、野菜ボックス向けに野菜の供給をしています。それと健康に役立つものを作りたいと思っていたとき、エゴマの話を聞き、私自身血圧や、コレステロール値が高かったりしたので栽培を始めました。

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菜の花畑で楽しむ家族

 安全、健康を農業の中心に考えたとき、自分の子どもや、孫、家族の食べ物を安全にしたいと思い、有機栽培にも踏み切り、お客さんにも自信をもって売りたいと思いました。

 今年、少し明るさ、可能性を感じたのは、有機栽培に取り組む仲間や、私の作る農産物などを通して、食べ物の安全、健康に関心のある方とのつながりを感じていることです。

 そして、その方々も“今年起きた悪いこと”に関心があり、このままでは日本の農業はだめになり、食の安全も脅かされ、健康も維持できなくなると心配している方が多いです。栃木県でも、有機農業に関連した催しや講習会も増え、勢いを感じます。

 私たちが主役の
 「10年」が始まる

 今の夢は仲間を増やし、有機を中心にした野菜直売とそれを材料とした食事を提供するところができないかと思っています。

 来年から国連家族農業の10年が始まります。私の所も農業従事者は1・5人の家族経営です。まさに来年から私たちが主役の10年が始まると思うとわくわくします。

(新聞「農民」2018.12.17付)
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2018年12月

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