「農民」記事データベース20181203-1338-09

ふるさと
よもやま話

山梨県農民連会長
丹沢民雄


おいしいブドウづくり
極意は有機肥料と熟期

 山梨県笛吹市でブドウを生産しています。品種は、キングデラとシャインマスカットで、ハウスと露地栽培です。

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笛吹市のシャインマスカット

 種なしで皮ごと食べられる品種

 キングデラは別名キングとも呼ばれ、デラウエアを一回り大きくした種なしブドウです。1976年に「レッド・パール」に「マスカット・オブ・アレキサンドリア」を交配し生まれた実生を選抜・育成した品種です。糖度と酸味が入り混じったほどよい味です。

 ブドウで大変なのは、収穫までの摘粒作業です。遅れると、粒同士が押し合いへし合いして房が変形し、商品価値が落ちてしまいます。これはシャインマスカットにもいえます。シャインマスカットは、果皮の色が緑黄で、果粒の形がだ円です。種もなく、皮ごと食べられるので、いま消費者にも人気の品種です。

 ハウスは、LPガスも使っていますが、温泉が主力で、湯をポンプで加圧し、加温します。

 肥料は、発酵肥料(ボカシ)を使っています。光合成細菌など微生物の力でできる有機質肥料が主体で、おいしいものがつくれます。農薬は極力抑えつつ、農民連食品分析センターに検査に出し、安全性を確認しています。

 「食べやすい」と病院からも好評

 台風が多く来た今年。生産者にとっては非常に大変でした。私のところはさほど被害は出ませんでしたが、台風21号、24号で、ハウスに大きな被害がでた農家も多かったようです。

 温暖化により、年々、生産が困難になっているのを感じます。キングデラでみると、本来の色が出ず、赤みを帯びてしまうなどの影響がでています。キングデラの生産が減り、その分、シャインマスカットの生産が増えています。シャインマスカットは、前述したように、非常に食べやすく、病院に供給している業者からも、患者が「食べやすい」と喜んでいると好評です。

 シャインマスカットで最近気になっているのは皮の色です。収穫まで少し間をおくと、緑が黄色味を帯びてきて、糖度が高くなり、香りもでてきます。

 一方で、緑の方が見た目はよいということで、スーパーなどではきれいにそろった緑色の品種が並んでいます。しかし、収穫時期(熟期)をずらしていけば少し黄色ばんでもおいしいブドウができます。

 14年の大雪では離農者も出た

 ブドウ生産地でも高齢化の波が押し寄せ、ブドウ農家も少しずつ減っています。とくに2014年の大雪では、ハウスの再建をせず、やめた人もいました。

 こうした災害に対して、被災した農家にきちんと補償されるよう国や県に対策をとらせることが必要です。対県交渉などを通じて、農家の声を行政に届けられるよう、県農民連も仲間を増やして力をつけていきたいと思います。

(新聞「農民」2018.12.3付)
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2018年12月

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