旬の味
年が明けて1月1日、主人の母は98歳の誕生日を迎えます。5年前、体調を壊した母をわが家の近くの施設に入れていただきました▼「みなさんによくしていただいて」と喜んでいた今春、ベッドから落ちて大たい骨を骨折し、入院を余儀なくされました。せめて食事の介助をと隔日に病院を訪ねる私達に「遠いところをありがとう」と喜んでいたのですが、退院し、施設に戻った途端に認知症が進み、息子である夫のことや私のこともすっかりわからなくなってしまったのです▼食べたいものは何か、何をしたら喜んでくれるだろうと思いながら、先日、ミカンを持参し、薄皮を取って口に入れますと、目を細めて、「おいしい、おいしい」と食べてくれます。「お母さん、また来るからね」と手を握ると、ぎゅっと握り返し、「明日も来てね。おいしいもの、いっぱいつくって待ってるからね」と言うのです▼すっかり会話ができなくなっていただけに胸がいっぱいになりました。少しなりとも穏やかな日々をと心から願うものです。 (志)
(新聞「農民」2018.11.26付)
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[2018年11月]
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