「農民」記事データベース20181126-1337-09

埼玉県南食健連

見沼田んぼ(さいたま市)
見学ツアーと研修会


原風景守るトラスト地訪ね
保全と土地利用の歴史学ぶ

 11月3日、農業・農協問題研究所首都圏支部と埼玉県南食健連(埼玉県南都市近郊・見沼田んぼ 農業・食糧・健康を守る連絡会)との共催による見沼田んぼ(さいたま市)見学ツアー・研修会が約40人の参加で行われました。

 今は水田減って
 野菜畑などに

 当日は天候にも恵まれ、絶好のツアー日和で、マイクロバスの他、3台の車を連ねて、東浦和駅を出発。見沼田んぼで農業を営む浅子幹夫事務局長の名ガイドのもと、大宮公園の氷川神社、見沼田んぼの原風景とされ、コンクリートで護岸されずに斜面林と用水路が一体となって保存されている緑のトラスト保全1号地、山羊や鶏も飼い、卵や野菜等の直売所も開設している浅子ファームなどを見て回りました。

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見沼田んぼを流れる加田屋川

 かつてはほとんどが水田であった見沼田んぼも、今は水田はごくわずかとなり、サトイモ、八つ頭などの野菜や花木が主体となっています。東京方面から建設残土が大量に持ち込まれ、その客土で道路より高くなっている畑をあちこちで見かけたことも印象的でした。

昼食は“かっぽう”で豪華に…

 農業が直面する
 問題も具体的に

 ツアーの終点は、木曽呂富士塚で、そこに隣接するかっぽう富士で豪華な昼食。午後は、リズムステップ木曽呂の会議室で研修会。ここは、浅子さんのところとも連携し、 「農福連携」で障害者の農作業体験等にも取り組んでいる施設です。

 研修会では、3人が報告。石井正隆さんは、ビデオメッセージでしたが、戦前の見沼貯水池計画反対闘争(1934年〜39年)を中心に「見沼田んぼ300年の歴史」について報告しました。

 浅子さんは、県の「見沼田圃の保全・活用・創造の基本方針」にはすばらしいことが書かれているが、現実には必ずしもそのようにはなっていないこと等、見沼田んぼの農業が直面している問題について、具体的に話しました。

 農・農研と共催
 で豊かな議論に

 農・農研の淵野雄二郎さん(東京農工大学名誉教授)は、「見沼田圃の保全活動から何を学ぶか」ということで、土地利用の歴史にも触れながら、県の「基本方針」策定後の「公有地化推進事業」の取り組みなどを紹介。見沼田んぼの土地利用状況と農家の意識、田んぼの維持・管理と市民団体等の立ち位置についても説明しました。

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見沼田んぼの今後の農業について、有意義な意見交換が行われました

 最後に、それらの報告を受けて、参加者も交えた意見交換を行いましたが、食と農を視野に入れながら、見沼田んぼの今後の農業のあり方を考えるうえで、農・農研と県南食健連の共催であるがゆえの有益な議論が交わされました。

(新聞「農民」2018.11.26付)
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2018年11月

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