違法なGM(遺伝子組み換え)ワタを検出農民連食品分析センターの調査で判明
食用や飼料用、衣料などに利用されているワタ。なかでも海外から多く輸入されている遺伝子組み換えワタは、法律(カルタヘナ法)上、一般の畑では栽培できないことになっています。しかし、農民連食品分析センターの調査で、国内で栽培されているワタに違法な遺伝子組み換え品種が混入している可能性があることがわかりました。
輸入GMワタの種子混入か 総輸入量のうち
いま世界では、ワタの総栽培面積に対する遺伝子組み換えの割合が80%に及びます。日本のワタの自給率は1%未満。日本へのワタの総輸入量9万9千トンのうち遺伝子組み換えは9万トンで90%を占めます。(数字は2017年、バイテク情報普及会調べ) |
遺伝子組み換えのワタ |
しかし、遺伝子組み換えワタの輸入がはんらんしているもとで栽培されているワタの種子に、遺伝子組み換えワタの種子が混入していることを知らずに栽培しているケースがあるのではないか、その実態が広がっているのではないか、といった情報が、以前から分析センターに寄せられていました。
2014年には、農水産省の調査で、中国から輸入されていた栽培用ワタの種子に遺伝子組み換えのものが混入していることが判明し、メーカーに回収指導をした事故が発生しています。
この間の経緯からも今回のケースと同じような例や栽培が行われてしまっている場所などが、他にあるのではないかとの危惧から、新聞「農民」7月30日付でこの結果を公開し、注意を促すとともに、読者・農家への調査協力を呼びかけました。
こうして、3月から10月までに16検体が寄せられ、検査の結果、3検体から遺伝子組み換えを検出しました(表)。検出された品種はモンサント社が販売する殺虫性のMON531系統であると判定されました。
今回、遺伝子組み換えと判定された種子の流通経路や栽培の経緯などについては、十分な情報がありません。
栽培者が、意図せず遺伝子組み換えワタを栽培してしまった場合や、種子メーカーが、非遺伝子組み換え種子として管理流通、販売していた種子に遺伝子組み換え種子が含まれていて、それを栽培してしまったような場合には、遺伝子組み換えであることを認識していないうえ、遺伝子組み換えにより獲得された形質を利用していないことからも違法性を問うべきではないと考えています。
こうしたケースでは、栽培者は、損害を被ったととらえるべきであり、回復にかかるコストや技術的支援、発生する損害などが補償される仕組みづくりが必要です。
2018年10月30日付で農水省は「カルタヘナ法に基づく輸入時の立入検査の結果」を公開しました。それによると、2014年から16年までは、毎年、遺伝子組み換えワタが見つかっています。
こうした事実を放置し、対策をとらなかった農水省の責任が問われます。販売種子や栽培地の実態調査などを今すぐにでも行うべきです。
発生を抑える対策として、今考えられるのは、(1)和綿を中心とした栽培に切り替える、(2)種子を一粒ずつ検査し、非遺伝子組み換えのみを播種、これを増やし、栽培用種子として配布する――ことなどです。
農民連食品分析センターでは引き続き、遺伝子組み換えワタの実態調査を進めていきますのでカンパをお寄せください。
さらに、遺伝子組み換えワタかどうかを検出する検査コースの受け入れを開始しました。詳細はお問い合わせください。
縫製作業中の安藤さん |
夫は2代目で、以前から天然素材の綿を中心に企画をし、販売していたのですが、綿花の現状を知り、地球環境、農民の生活にとって、遺伝子組み換えでは安心、安全ではないこと、また、世界的に綿花の作付けに占める割合がとても大きいことにがく然としました。
そして5年ほど前から、自分達の技術を生かし、オーガニックコットンの生地を仕入れて製品をつくり、直接、お客様と対話しながら販売しています。
綿花栽培において、農薬の使用量の多さ、どんなふうに遺伝子が組み換えられているのかを話すと非常に驚かれます。
農民連食品分析センターの検査結果で、国内での栽培に組み換え綿が発見されたことに驚きと不安を覚えました。意図しない組み換え綿が増えないように、国による規制や検査が厳密に行われることを願います。
[2018年11月]
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