農民連と漁民連
FAO(日本事務所長)と懇談
「家族農業の10年」日本でも
家族農業の重要性は
国際的にも認めている
農民連と全国沿岸漁民連絡協議会(漁民連)は10月25日、横浜市のFAO(国連食糧農業機関)駐日連絡事務所を訪れ、来年から始まる国連「家族農業の10年」について和やかに懇談しました。
農民連からは、笹渡義夫会長、真嶋良孝副会長、勝又真史・新聞「農民」編集長、岡崎衆史・国際部副部長が参加。漁民連からは、鈴木正男共同代表(千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合組合長)、二平章事務局長、本吉政勝さん(千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合副組合長)が参加しました。
FAOからは、M・チャールズ・ボリコ所長、三原香恵副所長、松岡幸子・パートナーシップスペシャリストが応対しました。
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ボリコ所長(左から3人目)と笹渡会長(同4人目)、鈴木共同代表(同5人目)ら |
冒頭、農民連は10月に出した「『国連家族農業10年決議』を歓迎し、『食料自給率向上、農林漁業の再生、農山漁村をよみがえらせる国民運動』を呼びかけます」のアピール案を手渡しました。
笹渡会長が、「『家族農業の10年』決議は、農民連が1989年の結成以来掲げてきた立場と重なるものであり、心強い。心から歓迎したい」と述べ、全国津々浦々で来年1月からのキャンペーンの先頭に立つ決意を伝えました。二平事務局長が漁民連の紹介を行い、「農民と同じように、沿岸漁民も漁業と地域を守っています」と説明しました。
ボリコ所長は、コンゴでの幼少時に食べものの多くが自給だったことを振り返り、「世界の食料生産の約8割を家族農業が生産しています。そのなかには貧困にあえぐ人達もいます。『10年』決議は、家族農業の重要性を国際的にも認めたものです。家族農業を守らなければ、食料安全保障も維持できません。自然資源の維持も持続可能なものでなければなりません」と応じました。
三原副所長からは、「FAO本部でも、家族農業への支援が重要であることを事務局長も言明しています。国際農民組織ビア・カンペシーナなどを通じてぜひみなさんの立場を発信してほしい」と述べました。
鈴木共同代表は、イカ、マグロなどを例に、自らの実践を紹介。漁業の資源管理の重要性を訴えました。
笹渡会長は、「農村部では離農、高齢化、耕作放棄地の増加など農山漁村で生産基盤が弱くなり、コミュニティーの崩壊が進み、食料自給率も38%と低い現状に大きな懸念をもっています」とし、世界の2%の人口の日本が、10%の食料を世界から買いあさり、廃棄食料も多いフードシステムのゆがみを告発。「10年がかりで自給率を向上させ、農山漁村をよみがえらせたい。そのために政府に政策変更を求めたい」と強調しました。
私たちも貢献したい(ボリコ所長)
ボリコ所長は、「今世界はSDGs(持続可能な開発目標)の時代に入っており、これは途上国だけの問題でなく、世界全体で取り組みを広げることが大事です。日本でも食料生産の大部分を家族農業が担っています。ぜひ日本でもがんばってほしい。私たちもできることは貢献したい」と期待を寄せました。
(新聞「農民」2018.11.5付)
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