「農民」記事データベース20181022-1332-18

旬の味


 母は百歳になり、銀杯と賞状が届きました。地域で使える商品券なら気が利いているのにと内心思いながら、母の長寿を喜びました▼満州から私の姉二人を連れて引き揚げ、原爆で焼け野原になった広島から戦後をスタートさせました。吹けば飛ぶような住まいでしたが、父の趣味が釣りのおかげで鮮度の良い魚やエビなどをよく食べていたようです▼百歳になった母の味覚は健在で、今では私たちの作る料理をおいしいねと言いながら、食事をすることを唯一楽しみに生活しています。食事時間以外はソファーでよくウトウトしていますが、おやつや食事時間になると腹時計に導かれてテーブルに座ります。母の食事の楽しみを日本の伝統食の会で培った料理が一役かってくれているといいのですが▼高齢化が進む中、今後私たちはどのような食生活を送るのでしょうか。ご近所同士での料理の交換が食の豊かさを育てる一つの方法かもしれません。料理を食べてもらう楽しさを身につけて老後を過ごせたらと思います。

(澄)

(新聞「農民」2018.10.22付)
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2018年10月

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