台風21号・北海道胆振東部地震被害
営農継続できる支援策を
従来の枠にとらわれず早急に
農民連本部が農水省に要請
北海道・和歌山・大阪・京都からも参加
農民連本部は9月26日、台風21号と北海道胆振東部地震の被害対策を求め農水省交渉を行いました。和歌山、大阪、京都と北海道の被災各地からも参加し、被害の現状を訴えました。
交渉では農業が継続できるよう従来の枠組みにとらわれない支援を求めるなど、7項目を要請。特に、ビニールハウスの倒壊被害に対し、7月の「西日本豪雨被害対策」と同様に、撤去費の全額補助、建て替え費用の9割水準の補助を早急に打ち出すことを強く要求しました。
復旧意欲の出る対策を出して
和歌山・紀ノ川農協の宇田篤弘組合長はハウス倒壊被害の実態を紹介し、次の作付け計画が立てられないとし、早急な対策を要請。「ビニールを切ればハウス内の作物に被害が出るためためらう。この被害に手当てがあれば、農家も決断しやすくなり、全体の被害も抑えられる」とし、制度の検討を要求しました。
大阪・農民組合阪南支部協議会の下村晴道事務局長も同様の対策を要望。「政府の方針に沿って営農したり、新規就農で参入している農家がハウス栽培の主力で、そうした農家のダメージが大きい。このままでは泉南の農家はみんなハウス栽培をあきらめてしまい、特産の泉州水ナスにとっては大打撃だ。復旧意欲の出る支援策を早急に出してほしい」と訴えました。
被害の実態を把握して対策を
京都農民連の上原実副会長は「7月の水害で被害を受けてハウスを移設したばかりの農家がまた被害を受けている。また、京野菜の苗の生産者が被害を受けており、次作以降にも大きな影響が出かねない。実態を把握して対策を」と要請しました。
北海道標茶町の渡邊定之さんは「停電で搾乳ができなくなった大規模酪農家が『目の前でバタバタと牛が倒れるのを見ているしかできなかった』と語っていた」と悲痛な訴え。自家発電機の整備と乳業メーカーの非常用電源の整備、停電時の損害への補償を要請しました。
9月中にはぜひ一定の方向を
農水省は、「みなさんの話を聞き、できるだけ早期に対策を出す」と言うものの、踏み込んだ答弁はできませんでした。笹渡義夫会長が「農水省から復旧への力強いメッセージを出してほしい。9月中に一定の方向を」と重ねて要望しました。
交渉には日本共産党の田村貴昭衆院議員、紙智子参院議員が同席しました。
農水省 2日後に緊急対策決定
9月28日、政府は北海道地震や台風21号で被災した農業者への支援対策を決め、被害を受けた農業用ハウスなどの撤去や再建にかかる経費負担の助成率を引き上げました。
(新聞「農民」2018.10.8付)
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