トランプ脅迫外交に屈し
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安倍首相(左)とトランプ大統領(首相官邸ホームページから) |
日米共同声明には(1)主として日本の農産物を狙い撃ちにした関税引き下げ交渉に続いて、(2)「他の貿易・投資の事項についても交渉を行う」ことが明記されています。これは、日米2国間で包括的な貿易・投資の交渉を行う日米FTA交渉の合意そのものです。
現に、トランプ大統領は「われわれはFTA交渉開始で合意した。これは日本がこれまで拒否していたものだ」と勝ち誇ってみせ、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は関税引き下げなど「早期の成果」を得たうえで、日本とは完全なFTAを目指すと強調しています。
共同声明とアメリカ側の言明の両方から見て、ゴマカシが明白な二枚舌で日本国民を欺く首相の態度は、絶対に許されるものではありません。
第1に、TPPはWTO(世界貿易機関)や他のFTAをはるかに上回る史上最悪の農産物自由化協定であり、共同声明でTPP合意水準まで譲歩すると一方的に誓約したこと自体が大問題です。
第2に、世界中に関税引き上げという武器を突きつけて貿易戦争をしかけているトランプ政権が日本の主張を「尊重」するなどという保証は全くありません。
もともとトランプ氏がTPPを離脱する理由としてあげていたのは、2国間交渉によってTPPより優位な条件を引き出せるというものでした。
トランプ氏の忠実な部下であるライトハイザー代表は、首脳会談後、日本が「防衛ライン」とするTPPを「米国が求める協定とは大きく違う」と強調し、TPP水準を対日要求の「出発点」とすることを公言しています。
しかも、自分で火をつけた米中貿易戦争のあおりで大豆や豚肉の対中輸出が激減し、そのハケ口を日本に求める動きが強まっており、パーデュー米農務長官は「日本は重要な顧客だ。高い水準の貿易協定を締結することは、アメリカの農業にとって最優先事項だ」との声明を発表しました。
TPP水準を「出発点」に、これをはるかに上回る譲歩が迫られることは火を見るよりも明らかです。
首脳会談では「交渉が続いている間は関税引き上げ措置は発動しないことを確認した」とされ、安倍政権は「成果」と誇っています。しかし、これは日本がアメリカの無理難題に応じなければ、いつでも「刃物」を振り回すという宣言にほかなりません。
自民党は自動車工業会から8040万円、トヨタだけでも6440万円という巨額の献金をもらっています。自動車業界の目先の利益を最優先し、日本の農業を犠牲にする――こういうやり方を許すわけにはいきません。
憲法改悪と消費税大増税を公言し、売国・亡国の日米FTA交渉にのめりこむ安倍政権を国民と野党の共同で打倒するときです。
国民民主党・玉木雄一郎代表「紛れもなく2国間FTAだ。早急に国会を開いて合意内容の説明を求める」
日本共産党・志位和夫委員長「日本の経済主権を身ぐるみ米国に売り渡す日米FTAには断固反対だ」
社民党・吉川元幹事長「日本農業に壊滅的打撃を与えかねない。厳しく抗議する」
[2018年10月]
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