DVD紹介
DVD「甘いバナナの苦い現実」完成
農民連食品分析センターも協力
私たちの食卓と世界のつながり
どうなっているか問い直す作品
バナナの生産を通して、農民の権利や食の流通を見つめ直すDVD「甘いバナナの苦い現実」が完成しました。
バナナの生産実態は、今から約40年前、著書『バナナと日本人(鶴見良行/岩波新書)』で伝えられ、話題となりました。甘くておいしい、色鮮やかなバナナの裏側には、悲惨な農薬使用の実態や、生産に関わる農民の権利の迫害と貧困にあえぐ苦々しい構造があることが報告され、社会問題として受け止められました。
2017年、日本の生鮮バナナの総輸入量は、およそ99万3000トン。このうちフィリピンからはおよそ81万トンで、実に消費されるバナナの81%に相当します。フィリピン産バナナは、平地にある大型プランテーションでの栽培が主流でしたが、近年、糖度の高い高地栽培バナナに人気が集まり、日本資本の支援を受けた企業がバナナ農園とは縁のなかった山岳地域の農村にも、プランテーションを作るようになりました。
島の豊かな自然の恵みとうたわれる高地栽培バナナの生産地では、農薬の空中散布にさらされて暮らす農民や住民の姿がありました。そこには40年前と変わらず不透明で不公正な契約の存在に怒り、その圧力とたたかおうとする農民の姿がありました。
またその一方で、農民の権利の回復、農薬を使わない栽培を目指す生産者、それを支える仕組みが芽吹いていることも見えてきました。
この作品は、バナナを通して、多国籍企業のフードチェーンによる支配が進む今日、私たちの食卓と世界のつながりを問い直す作品です。作品中では、農薬の空中散布によって村の住民たちが健康被害を受けていることを調査するため、農民連食品分析センターも協力しています。ぜひ、ご覧ください。
完成記念上映会は10月4日(木)午後6時30分〜8時45分、会場は連合会館2階204会議室です。DVDの価格は6500円(税別)。問い合わせはアジア太平洋資料センター(PARC)(電話)03(5209)3455まで。
(新聞「農民」2018.10.1付)
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