ふるさと
よもやま話
長野県農民連会長
竹上一彦
白毛もち米の稲わらが
大相撲の土俵に!
今18戸が栽培
6・5ヘクタールに拡大
長野県の伊那谷に古くから伝わる幻の古代米、白毛もち米。由来を私なりに考えてみました。
――なぜ草丈が長い?
古代は雑草より生長しないと生き残れなかったからではないか。
――穂先に白い野毛があるのはなぜか?
鳥が食べにくくなり、種子が生き残るための防衛本能ではないか。
――白毛もちが東南アジアから移動してきて、なぜ日本の中で信州伊那谷に残ったのか?
おそらく草丈が長い白毛もちは、中央アルプスと南アルプスに囲まれ、台風や突風が平野地帯と比べると、その影響を受けにくかったので生き残れたのではないか。
白毛もち米は、古代からいっさい品種改良されず、味がよいまま受け継がれたもちです。
農民連が結成され、新しい農民運動が始まったとき、元農民連代表常任委員の小林節夫さんが、農民連の行動綱領のなかに、「ものをつくってこそ農民」と「地域の特産物を発見していこう」というスローガンを盛り込むことを提起しました。
私達、上伊那農民組合は、地域に昔からある白毛もち米を特産物とし、その加工品としての「白毛もち」を、20年前から生産してきました。
いま18戸の農家で栽培し、面積も6・5ヘクタールまで拡大。年間650俵まで増やしています。
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白毛もち米の生産者たち |
そして、とうとう白毛もちのわらが大相撲の土俵へと進出するまでになったのです。
先日、駒ケ根市の南隣の飯島町の酒井裕司と名乗る人から電話があり、翌日に会うことになりました。いろいろ聞いてみると、酒井さんは飯島町で「米俵マラソン」といって、変わったハーフマラソンの提案者で米俵を年間1000個もつくる米俵職人でした。
酒井さんによると、2カ月前、日本相撲協会の子会社から「稲わらによる『土俵』をつくってほしい」という依頼があったそうです。今までは新潟県のコシヒカリを使って、そこの職人が土俵をつくっていましたが、高齢になって後継者がいないということで酒井さんに話がきたのです。
そこで酒井さんは、コシヒカリのわらか、ほかにもっとよいわらがないかと考えた末に伊那谷で古くから伝わる白毛もちのわらがあることを知って、私達に連絡がきたわけです。
「白星」で「粘る」
縁起も良く最適
なぜ白毛もち米なのか聞いたところ、「まず草丈が長いこと、そして相撲は勝負事で、白毛が白星、もちは粘ると、縁起がよいので最適のわらである」とのことです。
正確にはわかりませんが、早ければ九州場所から白毛もちわらで土俵ができるのでしょうか?
(新聞「農民」2018.9.24付)
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