「農民」記事データベース20180924-1328-14

米粉の麺(めん)を誕生させたのは…

宮崎・高鍋町 徳丸拓郎さん
=宮崎県農民連=


米の麺は流行でなく
文化に十分なりうる

 祖父から相談で
 転職を決意する

 22歳の時、名古屋で就職していましたが、当時74歳であった祖父から「離農を考えている」と相談を受けました。私も小学生の頃から手伝いをしていた「農業」について真剣に向き合うきっかけとなり、転職を決意しました。自然との営みを大切にしつつ、芸術的な職業であると感じたことを覚えています。

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徳丸さん

 就農して16年、38歳になりました。日々の植物の変化、季節の変化を肌で感じ、家族や仲間、周辺企業の協力、理解を得ながら、「究極の米、野菜とは何か?」を探求する日々で、厳しくも楽しく作業に努めています。

 現在は、水田約5ヘクタール、ハウスミニトマト25アール、精米業を基盤とし、製麺(めん)業を今年から開業したところです。

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米粉めん

 農業人気で若者
 地域にふえれば

 製麺業を開始したきっかけは、30歳のとき、「このままでは農業は衰退していく。高齢者が引退し、地域に担い手が不足したら、農地管理を耕作者2、3人で行うことは不可能ではないか?」と思っていました。

 農家の高齢化、後継者不足、耕作放棄地などの問題は、全て農家の経営弱体化によるものだと思います。必要経費は上がり続ける一方、販売価格は低迷を続けています。再生産もままならず、生活水準が保たれない職業に、若者は魅力を感じるはずがありません。

 機械の大型化への更新が負担となり、「後へは引けない状態」にまで追い込まれていきます。

 現状の設備のまま、経営力を向上させようとするならば、加工やブランド化、商品化して、付加価値を加えて販売していくしかないように思います。各農家が水田でも生計が成り立つ仕組みがつくれれば、農業が抱える問題も解消されるのではないか? 農業が「かっこいい職業」として認知度が高まるのではないか? 地域に若者が増えることで、自治・防災や景観の維持、美しい故郷を守っていけると期待を抱いています。そのために米専用の純国産製麺業を開業しました。

 若い仲間ともに
 実力を付けたい

 日本人の主食は米であると信じています。純国産の米の麺料理を増やすことができれば、日本各所の米産地に盟友を募り、田んぼを中軸とした美しい集落が増え、里山に癒しを求めてくる都会の方々に感動を提供し、地方に「人が集まる」ようになる、米の麺は流行でなく、文化になりうると考えています。

 農家の志を共有した仲間と巡り合い、同じ「農業を盛り上げたい!」という気持ちを抱き、技術を切磋琢磨していけるチームができたら楽しいと思っています。そのために、まずは私が実績を出して、皆を巻き込める実力を付けていかねばと、強く決意しています。

 今後も「食べた人を笑顔に、健康でいてほしい」――そんな願いを込めつつ、農作業に汗を流し続けていきたいと思います。

(新聞「農民」2018.9.24付)
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2018年9月

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